甲子道路

甲子道路：難所を克服した福島の幹線

甲子道路は、福島県南会津郡下郷町から西白河郡西郷村に至る全長23.3kmの道路であり、国道289号の自動車通行不能区間と狭隘区間を解消するために建設されました。2008年9月には主要構造物である甲子トンネルを含む区間が開通し、長年の課題であった自動車通行不能区間が解消されました。さらに、2019年3月には下郷町内の未開通区間が開通し、ついに全線が開通しました。

概要

起点: 福島県南会津郡下郷町大字塩生
終点: 福島県西白河郡西郷村大字真船
全長: 23.3 km
規格: 第3種第2級
車線数: 2車線

道路は4つの工区に分かれており、それぞれ設計速度や道路幅員が異なります。

工区	延長 (km)	設計速度 (km/h)	道路幅員 (m)	車線幅員 (m)

--	-	---	--	----
第1工区	5.9	50	8.0	3.0
第2工区	5.9	60	9.5	3.25
第3工区	6.2	60	9.5	3.25
第4工区	5.3	60	9.5	3.25

歴史

甲子道路が建設される以前、国道289号の甲子峠越え区間は、車両の通行が困難な交通の難所でした。特に、甲子温泉へ向かう道は急勾配で道幅も狭く、通行には注意が必要でした。この状況を打開するため、甲子道路の整備事業が開始されました。

しかし、工事は豪雪地帯での作業や予期せぬ事故により難航しました。2002年には大雨による地滑りが発生し、トンネルルートの見直しを余儀なくされました。また、甲子大橋では施工ミスにより橋桁が傾き、工期が大幅に遅れるなどの困難がありました。これらの問題を乗り越え、長年の歳月をかけて甲子道路は完成しました。

沿革

1975年度: 1工区（甲子工区）事業着手
1990年度: 4工区（大松川工区）事業着手
1995年度: 2工区、3工区事業着手
2002年1月21日: 2工区甲子トンネル工事着手
2006年8月4日: 2工区甲子トンネル貫通
2008年9月21日: 下郷町内の一部を除く区間が開通
2019年3月25日: 下郷町内の未開通区間が開通し、全線開通

構造物

甲子道路には、トンネルや橋梁などの構造物が多数存在します。特に、甲子トンネルは全長4,345mにも及ぶ長大トンネルであり、道路の重要な構成要素となっています。

過去には地すべりの影響でルートが変更され、一部のトンネルと橋梁が放棄される事態も発生しました。しかし、災害復旧工事として新たなトンネルが建設され、安全なルートが確保されました。

交通量

甲子道路の開通により、交通量は大幅に増加しました。平日24時間交通量（平成27年度道路交通センサス）のデータによると、主要地点での交通量は以下の通りです。

下郷町大字塩生字豊後海内: 4579台
下郷町大字合川字居平丁: 3703台
西郷村大字真船字馬立: 4460台
西郷村大字真船字弥右エ門窪: 6143台

これらの数値は、甲子道路が地域交通に大きく貢献していることを示しています。

まとめ

甲子道路は、長年の困難を乗り越えて完成した、地域にとって重要なインフラです。交通の便を向上させるだけでなく、観光の活性化にも貢献しています。この道路の開通は、福島県の発展に大きく寄与すると期待されています。

参考文献

佐藤健太郎『国道者』新潮社、2015年

関連項目

東北地方の道路一覧
甲子山
甲子峠
点線国道
登山国道
栗子トンネル
大峠トンネル

外部リンク

福島県道路総室
国土交通省 東北地方整備局 郡山国道事務所
* 国道289号 甲子道路の廃止区間

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