甲子峠

甲子峠は、福島県西白河郡西郷村と南会津郡下郷町の境界に位置する標高1,400mの峠です。奥羽山脈の分水嶺を越えるこの峠は、福島県の中通り地方南部と会津地方南部を結ぶ重要なルートでした。

かつての甲子峠

かつて国道289号がこの峠を経由していましたが、その道は登山道として利用されており、「登山道国道」または「点線国道」として知られていました。特に中通り側からの道は整備が遅れており、麓の甲子温泉付近までしか車でアクセスできませんでした。そのため、峠を越えるには登山道を歩く必要があり、登山道に設置された国道標識が登山者に親しまれていました。

現在の甲子峠

2008年9月21日に甲子道路が開通し、状況は一変しました。甲子トンネルや甲子大橋などの構造物を含むこの道路は、自動車での通行を可能にし、峠越えの利便性を飛躍的に向上させました。また、甲子道路は日光国立公園内に位置するため、自然環境に配慮した「エコロード」として計画・整備されました。

甲子道路の建設

甲子道路の建設は容易ではありませんでした。工事中には地層破壊が発生し、トンネルのルートを変更せざるを得ない事態も発生しました。さらに、開通後も東日本大震災の影響とされる側壁のひび割れや湧水、鉱物の影響と考えられる道路隆起などの問題が報告されています。これらの問題は、道路の維持管理において継続的な課題となっています。

甲子峠は、その歴史と景観から、現在も多くの人々にとって魅力的な場所です。かつての登山道国道の面影を残しつつ、甲子道路によってアクセスが容易になったことで、より多くの人々がこの峠を訪れることができるようになりました。

関連項目

* 日本の峠一覧

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