甲斐文比古

甲斐文比古

甲斐文比古（かい ふみひこ）は、1912年5月17日に台湾の台北市で生まれ、2001年9月2日に亡くなった日本の外交官です。彼は、戦後日本の外交を支え、国際社会における日本の地位向上に大きく貢献しました。

生い立ちとキャリア

甲斐文比古は、日本統治下の台湾で生まれ、旧制台北高等学校を経て、東京帝国大学法学部を卒業しました。1933年に外交官試験に合格し、外務省に入省しました。

外務省では、特別調達庁東京特別調達局契約部長などを歴任し、1952年には在ジャカルタ日本国総領事館総領事に就任しました。その後、1955年には在ベルリン日本国総領事館総領事、1961年には外務省大臣官房審議官、同年には外務省経済局経済協力部長を歴任しました。1962年には外務省経済協力局長に昇進し、日本の経済外交を牽引しました。

大使としての活躍

1963年、甲斐文比古は特命全権大使としてマレーシアに赴任し、その後、1967年にはオーストラリア、1970年にはドイツに大使として派遣されました。これらの国々との友好関係の構築に尽力し、日本とそれぞれの国との関係を深化させる上で重要な役割を果たしました。

これらの大使としての活躍を通じて、彼は国際社会における日本のプレゼンスを高めることに貢献しました。また、各国の政治や経済情勢を深く理解し、日本外交の多角的な展開に寄与しました。

その後の活動

1971年には大蔵省顧問に就任し、その後も日本の経済政策に関わりました。1984年には、その長年の功績が認められ、勲一等瑞宝章を受章しました。

同期入省の外交官たち

甲斐文比古の同期には、以下のような著名な外交官がいます。

青木盛夫（駐ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使・駐南ベトナム大使）
牛場信彦（対外経済担当大臣、駐米大使、外務事務次官）
小川清四郎（駐バチカン大使）
勝野康助（駐ポルトガル大使、駐ノルウェー大使、駐セイロン大使）
黒田音四郎（駐レバノン大使兼ヨルダン大使、駐ギリシャ大使）
千葉皓（駐ブラジル大使、駐オーストラリア大使、駐イラン大使）
中川融（国連大使、駐ソ連大使、駐イタリア大使）
林馨（駐メキシコ大使、駐マレーシア大使）
湯川盛夫（駐英大使、駐ベルギー大使）

これらの外交官たちと共に、甲斐文比古は戦後の日本外交を力強く推進しました。

著書

甲斐文比古は、その経験を基に以下の著書を執筆しました。

『70年代の東南アジアと日本』大陸問題研究所、1970年
* 『国境を越えた友情 : わが外交秘話』東京新聞出版局、1990年

これらの著書は、彼の外交官としての活動や、国際社会に対する深い洞察を知る上で貴重な資料となっています。


甲斐文比古は、激動の時代を外交官として生き抜き、その卓越した手腕と国際感覚で日本外交に大きな足跡を残しました。彼の功績は、今日の日本外交を考える上でも重要な示唆を与えてくれます。

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