町屋斎場

町屋斎場：歴史と現代が交差する火葬場

東京都荒川区町屋に位置する町屋斎場は、東京博善株式会社（広済堂ホールディングスグループ）が運営する大規模な民間火葬場・斎場です。同社が都内6箇所に展開する斎場のなかでも最大規模を誇り、多くの葬儀を執り行っています。

1994年10月には全面的な改築が行われ、現在の斎場棟と火葬棟が中央を挟んで配置された現在のデザインとなりました。洗練された設備と、落ち着いた雰囲気は、故人を送る大切な儀式にふさわしい空間を提供しています。

この斎場の歴史は古く、江戸時代の火葬場跡地に建てられています。江戸時代には、千駄木、桐ヶ谷、渋谷、炮烙新田、そして小塚原に火葬場が存在し、「江戸五三昧」と呼ばれていました。町屋斎場は、明治22年に小塚原火葬場が市街化により廃止された後、移転・新設を経て現在の地で運営を続けています。現在も、斎場の西側には荒川区の史跡説明板が設置され、その歴史を伝えています。

町屋斎場は、多様なニーズに対応できる設備を備えています。火葬炉は12基あり、そのうち8基は最上級の設備、2基は特別室、さらに2基は特別殯館として用意されています。都市ガスを燃料とするロストル式火葬炉で、スムーズな火葬を可能にしています。

式場も充実しており、従来型の式場が10室（東西5室ずつ）、そして令和5年8月には家族葬など小規模な葬儀に対応した新型式場が5室増設されました。新型式場は3階にあった休憩室を改装したもので、式場の順番待ちの短縮にも貢献しています。その他、6室の休憩室、10室の控室、2箇所のコーヒーコーナー、4箇所の売店など、利用者の快適性を考慮した設備が整っています。

通夜と告別式は、時間差で執り行われることで、他の葬儀との予約時間のかぶりを最小限に抑えています。通夜は原則午後6時開式、午後7時閉式です。告別式は、他の部屋を使用する場合や、自宅葬、ホール葬など外部で行う場合、さらには葬儀を行わない直葬の場合にも、火葬の予約時間と調整されます。直葬の場合、棺を炉に納める直前に炉前で故人とのお別れとなる「別れ花」の儀式が行われます。

出棺は、斎場棟から火葬棟まで霊柩車を使用するか、斎場職員が台車を使って移動するかのどちらかを選択できます。

町屋斎場では、石川啄木、森鴎外、稲川英雄、二代目古今亭圓菊、大鵬幸喜、相馬勝也、尾崎行雄、初代三笑亭夢丸、松方弘樹、青島利幸、立川左談次、梅宮辰夫など、多くの著名人の葬儀・火葬が執り行われてきました。

最寄りの駅は、京成本線・東京メトロ千代田線町屋駅で、徒歩5分です。都電荒川線荒川七丁目停留場からも徒歩3分とアクセスも良好です。

ただし、町屋斎場は斎場の提供と火葬業務を行うのみです。利用を希望する場合は、葬儀社を通して申し込む必要があります。

歴史と現代が調和した町屋斎場は、故人を偲び、送るための、静かで落ち着いた空間を提供し続けています。

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