町田勝彦

町田勝彦（まちだ かつひこ）は、1943年6月22日生まれの日本の実業家です。彼はシャープ株式会社の二代目社長である佐伯旭の娘婿であり、姻族継承者として同社を率いました。

生い立ちとシャープ入社

1943年、大阪府で生まれた町田勝彦は、大阪府立天王寺高等学校を経て京都大学農学部に進学しました。大学時代にはスキー部の主将を務め、リーダーシップを発揮しました。

1969年、町田は早川電機工業（後のシャープ）に入社し、営業畑でキャリアをスタートさせました。彼は着実に昇進を重ね、1987年に取締役に、1990年には常務取締役に、そして1992年には代表取締役専務取締役に就任しました。

社長就任と事業戦略

1998年、町田はシャープの代表取締役社長に就任しました。社長就任と同時に、彼は社内事業部にある社内研究所を廃止し、液晶テレビの実現と生産に全力を注ぎました。この大胆な戦略は、当時としては画期的であり、シャープの命運を左右する決断でした。

当初、IC事業本部の廃止も検討されていましたが、最終的には断念されました。しかし、この液晶事業への過度な集中が、後にシャープが経営破綻する要因の一つとして、「液晶一本足打法」と批判されることになります。もし社内研究所が廃止されていなければ、現在のホンハイ傘下のシャープとは異なる状況になっていた可能性も指摘されています。実際、経営危機に陥った際、ホンハイを呼び込んだのは町田勝彦ではないかという説もあります。

ホンハイの傘下に入ったことで、液晶投資で膨れ上がった借金（社債）の多くは返済されました。しかし、その過程で、多くの社員が昇給停止や賞与削減などの痛みを強いられました。

業績と経営危機

社長在任中、町田は液晶テレビや太陽電池事業に注力し、シャープを世界シェア1位に押し上げました。しかし、その後、液晶価格の急落などにより、同社は経営危機に陥りました。彼の経営戦略は、短期的な成功をもたらした一方で、長期的な視点でのリスク管理が不足していたとも言えるでしょう。

会長就任とその後

2007年4月1日、町田はシャープ初の代表取締役会長に就任し、片山幹雄が社長に就任しました。この二頭政治は、社内での対立を生み、経営危機の一因になったという分析もあります。町田は2012年4月に相談役となり、第一線を退きました。

私生活

最初の夫人（佐伯旭の娘）は50代で病没しており、現在は再婚し、京都市内に在住しています。姻族継承者であり、義父である佐伯旭は、当初、娘の結婚に反対していましたが、知人の説得により結婚を認めたというエピソードも残っています。

町田勝彦の経営手腕は、シャープの歴史において、大きな転換点となりました。彼の功績と課題は、今後の企業経営を考える上で、重要な教訓となるでしょう。

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