画賛

画賛（がさん）とは

画賛とは、絵画に添えられた詩文のことを指します。しかし、中国と日本ではその意味合いが異なっています。

中国の画賛

中国における画賛は、主に人物画にちなんで制作された文章を指し、唐時代まで使用された用語です。人物の事績を称え、賞揚する文学形式としての「賛」が用いられました。宋時代以降は、絵画に付属する文章は「題」や「跋」と呼ばれることが多く、「画賛」という言葉はあまり使われなくなりました。

日本の画賛

日本における画賛は、絵画に書き込まれた詩文そのものを指します。絵の上部の空白部分に書かれることが多いですが、別紙に書いて接続する場合もあります。漢詩が一般的ですが、和歌や俳句が用いられることもあります。

歴史

空海が真言七祖像の上部に書いた賛が、現存する古い例として知られています。鎌倉時代以降、禅宗とともに、禅僧が修行を終えた弟子に自分の肖像画（頂相）と画賛を与える習慣が導入され、絵画に賛を入れる習慣が広まりました。室町時代には、賛詩が不可欠な要素となる詩画軸や、上部に賛のある寒山拾得図などの禅画が数多く制作されました。江戸時代になると、狂歌や俳句の賛が添えられた絵画や浮世絵も登場しました。

画家自身が賛を書くことは「自賛」と呼ばれます。

色紙形（しきしがた）

画賛と類似するものに「色紙形」があります。色紙形は、絵画の画面の一部（主に上部）を方形に区切り、多くは別の色や胡粉で塗りつぶし、その上に絵画にちなんだ仏教経典の抜粋、詩文、題字などを書き込む形式です。まるで色紙を貼り付けたかのような見た目になります。中国では北魏時代の敦煌壁画に既に見られますが、日本では平安時代によく行われ、室町時代以降は大和絵系の絵画に多く見られました。


関連項目

書画
横尾忠則

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