畠山基玄

畠山基玄：栄光と挫折の生涯

畠山基玄は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した高家旗本です。名門畠山氏の一族として、華麗なる経歴と、権力闘争の影を垣間見せる波乱に満ちた生涯を送りました。本稿では、彼の生涯を詳細にたどり、その栄光と挫折を浮き彫りにします。

名門の出身と初期の経歴

基玄は、300石の旗本であった畠山政信の長男として誕生しました。祖父は紀伊国の戦国大名、畠山貞政です。名門の出身である基玄は、慶安元年（1648年）には将軍徳川家光に謁見するなど、早くからその存在感を示しました。

高家への昇進と将軍からの信頼

寛文4年（1664年）に家督を相続した基玄は、延宝7年（1679年）に奥高家に列しました。これは、足利氏の支流であり、室町時代には三管領として栄えた名門畠山氏の嫡流である基玄を、一般の旗本に留めておくことが惜しまれたためです。この昇進に伴い、知行高も増加しました。その後も順調に昇進を重ね、従五位下侍従民部大輔に叙任され、さらに従四位下へと昇り詰めます。

将軍徳川綱吉からの信頼も厚く、元禄元年（1688年）には1000石の加増と同時に側用人に就任しました。高家は通常、一般の旗本や譜代大名の職に就くことができないため、この任命は異例中の異例と言えるでしょう。側用人は譜代大名の地位であり、通常は万石以下の旗本は就任できません。基玄の抜擢は、綱吉からの絶大な信頼の証と言えるでしょう。翌年にはさらに2900石の加増を受け、知行高は5000石に達しました。

信頼の失墜と高家への復帰

元禄4年（1691年）には奏者番に転じましたが、その後、突如として綱吉の信頼を失い、将軍への拝謁を禁じられるという事態に陥ります。これは、綱吉の気まぐれな性格が影響したと考えられます。その後、奏者番の職を解任されましたが、改易には至らず、元禄9年（1696年）には奥高家に復帰を果たしました。翌年には高家肝煎に就任し、元禄13年（1700年）には秋子内親王の誕生祝賀のため、将軍名代として上洛するなど、再び重要な役割を担いました。

隠居とその後

宝永4年（1707年）に隠居した基玄は、実子がみな早世したため、家督は養子の基祐（弟の義玄の子）に継がせました。宝永7年（1710年）に75歳で死去し、芝の金地院に葬られました。

知行地とまとめ

『鹿沼市史』によると、宝永初年度における基玄の知行地は[具体的な知行地に関する記述を追加]。

畠山基玄の生涯は、名門出身という恵まれた環境と、将軍からの信頼と失墜という激しい変化に満ちたものでした。高家として重要な役割を果たした一方、綱吉の気まぐれな性格に翻弄された側面も持ち合わせていたと言えるでしょう。彼の生涯は、江戸時代中期における権力構造や、将軍と家臣の関係性を理解する上で貴重な事例となっています。その波乱万丈の人生は、後世の人々に多くの示唆を与え続けることでしょう。

もう一度検索