畠山義郎

畠山義郎：地方自治に尽くした政治家であり詩人

畠山義郎（1924年8月12日 - 2013年8月7日）は、秋田県北秋田郡下大野村（後の合川町）で生まれ育ち、村長、町長として地域発展に貢献した政治家であり、豊かな感性を持つ詩人でもありました。彼の生涯は、戦後の地方自治と農山村の改革に深く関わり、地域社会の福祉向上と産業振興に大きく貢献しました。

生い立ちと青年期

1924年、畠山は下大野村で8人兄弟の4男として誕生。幼少期から家族の病や死に直面し、苦労の多い幼少期を過ごします。鷹巣農林学校林業科に入学するも、肺結核を患い中退。療養中に月刊詩誌『詩叢』を主宰し、詩作活動を開始します。戦時下、俳句結社に関わったことがきっかけで特高の監視対象となりますが、未成年であったため難を逃れます。その後、郵便局員を経て徴兵され、終戦を迎えます。

政治家としての歩み

復員後、畠山は下大野郵便局長代理、青年会会長を経て、1946年に下大野郵便局長に就任。同年、下大野村長を務めた杉渕光任の次女と結婚。1948年には下大野村農業協同組合の初代組合長に就任し、1951年には26歳8ヶ月の若さで下大野村長に就任します。

若き村長・町長として

村長就任後は、開拓道路の建設や四か村合併（後の合川町）の調停に尽力。合川町長としては、「食える町づくり」を掲げ、社会福祉の充実、大野台の酪農指定などを推進しました。また、秋田県防災協会長・全国防災協会長を歴任するなど、防災にも力を注ぎました。

1995年に町長を退職するまで、10期にわたり合川町長を務め、その間、数々の実績を残しました。2013年に88歳で死去。その功績が認められ、叙従五位が贈られました。

詩作家としての顔

畠山は政治家として活動する傍ら、詩人としても才能を発揮しました。青年時代から詩作活動に携わり、『詩叢』の主宰や「詩と詩人」の編集同人として活動。2009年には秋田県文化功労章を受章するなど、文化面でも地域に貢献しました。

主な実績

開拓道路の建設： 下大野村と鷹巣町を結ぶ道路を建設し、地域経済の発展に貢献。
小阿仁川の永久橋化： 大水害で流された橋を永久橋として再建。
羽後上大野駅（現合川駅）周辺の都市計画： 大火災からの復興のため、都市計画を実施。
営林署の誘致： 七座営林署を合川町に移転させ、雇用創出に貢献。
造林事業の拡充： 入会地の整理や植林事業を進め、林業の振興に貢献。
合川高等学校（現秋田北鷹高等学校）の誘致： 私立高校を誘致し、地域の子どもたちの教育機会を拡大。
社会福祉の充実： 社会福祉金庫の創設、敬老年金制度の導入、知的障害者施設「愛生園」の開設など、社会福祉の充実を図り、「社会福祉宣言の町」を宣言。
大野台工業団地の開発： 工業団地を開発し、企業の誘致を促進。
圃場整備： 全国初の「通年施工方式」で圃場整備を実施し、農業の近代化に貢献。

人となり

畠山は、「下意上達」の精神を重んじ、常に住民の声に耳を傾けました。1983年の日本海中部地震で犠牲になった生徒の家を1軒ずつ訪ねてお悔やみを述べるなど、人情味あふれる一面も持ち合わせていました。

家族

自伝によると、河辺町の豊島城主、畠山重氏の流れを汲むとされています。祖父は能代の製材会社に原木を販売する仕事をしており、村長も務めました。父は陸軍中野学校を卒業後、朝鮮半島で反日活動の抑制に従事。帰国後、郵便局長や村議を務めました。妻は下大野村長を務めた杉渕光任の次女。元秋田県知事小畑勇二郎とは姻戚関係にあります。

著書

『松に聞け―海岸砂防林の話』
『村の綴り方 木村文助の生涯』
『詩で読む秋田の戦後六十年』
『愛のかたち―魅力の詩人論 高村光太郎・宮沢賢治・菊岡久利』
『美しい詩ではないけれど』

詩集

『色わけ運動会―詩集』
『無限のひとり旅―詩集』
* 『畠山義郎全詩集』

畠山義郎は、政治家として、詩人として、地域社会に深く根ざし、その発展に尽力した人物でした。彼の功績は、今もなお、秋田県北秋田市に息づいています。

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