異極鉱

異極鉱（ヘミモルファイト）

異極鉱（いきょくこう、hemimorphite）は、斜方晶系のケイ酸塩鉱物の一種で、化学組成はZn4Si2O7(OH)2・H2Oです。世界中で広く産出し、特に酸化帯に形成されることが知られています。

特徴

異極鉱の最大の特徴は、その結晶構造にあります。将棋の駒のような五角形の結晶を形成し、結晶の両端の形状が異なる「異極晶」という形態を示すことが、名前の由来となっています。しかし、結晶の形だけでなく、球状の集合体として産出することも珍しくありません。

菱亜鉛鉱との違い

異極鉱は、かつて菱亜鉛鉱と混同され、「カラミン」という名で共に亜鉛の原料や医薬品として利用されていました。肉眼での判別が難しいため、以下の方法で区別します。

希塩酸との反応: 異極鉱は希塩酸に入れると泡を出さずに溶解しますが、菱亜鉛鉱は炭酸ガスを発生させて溶けます。
ブラックライトによる蛍光: 異極鉱はブラックライトを照射しても蛍光しませんが、菱亜鉛鉱はピンク色に蛍光します。

産出地

異極鉱は世界各地で産出しますが、主な産出地として以下の場所が挙げられます。

日本: 岐阜県の神岡鉱山は、異極鉱の産出地として有名です。大分県の木浦鉱山からは、褐鉄鉱を母岩とする無色の結晶群が産出します。
海外: アメリカのネバダ州やカリフォルニア州、イタリアのサルデーニャ島などが主な産出地です。メキシコのマピミやサンタエウラリアでは、大分県と同様に褐鉄鉱を母岩とする無色の結晶群が産出します。

関連項目

鉱物
ケイ酸塩鉱物
鉱物の一覧

参考文献

松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年。ISBN 4-05-402013-5。
松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会〈国立科学博物館叢書〉、2006年。ISBN 978-4-486-03157-4。
『世界の鉱物 コレクション』 デアゴスティーニ

外部リンク

Hemimorphite（mindat.org）（英語）
Hemimorphite Mineral Data（webmineral.com）（英語）

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