症例シリーズ

症例シリーズとは

医学における症例シリーズ（ケースシリーズ）とは、特定の治療や曝露を受けた患者群を対象に、その後の経過を観察する研究手法の一つです。また、過去の医療記録を調査し、特定の暴露と結果の関連性を分析する研究も含まれます。症例シリーズは、ある期間に著者が把握した全ての症例を含む場合（連続症例シリーズ）と、選択された症例のみを含む場合（非連続症例シリーズ）に分けられます。

症例シリーズは、症例集積研究やケースシリーズとも呼ばれます。倫理委員会（IRB）への提出・審査は必ずしも義務付けられていませんが、投稿先の雑誌や学会によっては必要となる場合があります。複数の症例データを集計・解析し、原因を探索する目的で行われる場合は、観察研究と見なされ、倫理委員会の審査が必要となることがあります。

症例シリーズの構成要素

症例シリーズの情報には、患者の年齢、性別、民族などの人口統計学的情報が通常含まれます。これらの情報は、研究対象となった患者群の特徴を把握する上で重要です。

記述的研究デザイン

症例シリーズは記述的研究デザインに分類されます。分析的研究デザイン（コホート研究、症例対照研究、無作為化比較試験など）とは異なり、症例シリーズ自体は原因と結果の関係を検証する仮説検定を目的としません。ただし、遺伝疫学においては、特定の暴露と遺伝子型の関連性を調べるために、症例のみの分析が行われることがあります。

症例シリーズの限界

症例シリーズは、特定の集団（病院や診療所など）から患者を選出するため、一般的な集団を適切に代表していない可能性（選択バイアス）があります。また、プラセボ効果、ホーソン効果、ローゼンタール効果、時間効果、診療効果、自然経過などの介在効果によって、内的妥当性が低いという問題点があります。これらの介在効果は、同等の環境にある2群の差を比較することで相殺できます。したがって、真の治療効果を推定するためには、症例シリーズではなく、2群比較を行うことが不可欠です。

関連事項

症例報告

出典

Study Design Tutorial Cornell University College of Veterinary Medicine



注釈

この文章は、医学研究における症例シリーズに関する一般的な情報を提供しています。特定の研究を行う際には、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

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