痛み分け

痛み分け（いたみわけ）

痛み分けとは、日本の相撲で用いられる勝負の判定の一つで、取組中に力士が負傷や病気の悪化により継続不可能となった場合に宣告される。

歴史と変遷

かつて、痛み分けは日本[[相撲協会]]が発行した星取表上では、戦前は引き分けとして「×」と記され、戦後からは「△」で表記されるようになった。戦前の資料の中には「痛預」という表現が見られることもある。20世紀、特に21世紀に入ってからは痛み分けが適用された例は無く、最後に痛み分けが宣告されたのは、1958年9月場所の鳴門海と若葉山との取組であった。十両においても、1964年11月場所の宮柱と清乃森の対戦が最後で、幕下以下では1999年1月場所の序二段において適用があったケースが最後となっている。

近年の相撲界では、例外的な状況を除き、痛み分けの適用はほぼ見込まれていない。具体的には、2005年5月場所で五城楼が膝を痛めた際に相撲が取れず、琴春日が不戦勝となる事例があった。この場合、審判が取り直しと判断したため、痛み分けの宣告はされなかったが、相撲協会内での議論が生じ、もし一方の力士が負傷によって取組が困難な場合は不戦勝・不戦敗の判断が主流となるべきとの意見が多かった。

現在の状況

現在では、双方の力士が何らかの理由で取組を継続できなくなった場合にのみ痛み分けとの判定がなされると考えられている。1987年3月場所では、大関の北天佑が相手の小錦によって負傷しながらも痛み分けは宣告されず、その後の取り直しで小錦が勝利したという事件もある。

2018年には、幕内の取組で60年ぶりの痛み分けが成立しそうな場面も見られたが、4度の立ち合いの末に結局成立しなかった。

比喩的な意味

痛み分けという用語は、相撲以外の状況でも用いられる。争いごとや競技において、どちらか一方が勝者となることなく、双方共に大きな痛手を負った結果を「痛み分け」と表現することがある。ボクシングなどの格闘技における偶然のバッティングによる引き分けや、負傷ドローもこの表現が用いられることがある。

痛み分けは、単なる勝敗の判定に留まらず、競技や争い事の結果について、双方が損失を被った場合を象徴する言葉となっている。特に相撲の世界においては、その判定がどれほどの意義を持つかが、同じ土俵で戦う力士たちの強い精神力と結びついているのだ。

まとめ

このように痛み分けは、相撲から派生した用語として、現在ではさまざまな文脈で使用されている。今後、相撲の世界において痛み分けが適用される場面は非常に稀になる見込みであり、その意義も新たに再評価されていくことが期待される。

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