癰

癰（よう、英語: carbuncle）は、皮膚に発生する腫れ物の一種で、細菌感染によって引き起こされる炎症性疾患です。特に、複数の毛穴が束になって細菌に感染することで発生します。この点が、単一の毛穴の感染である癤（せつ）との大きな違いです。

症状
癰の主な症状としては、皮膚の赤み、腫れ、そして強い痛みが挙げられます。患部は熱を持ち、触れると圧痛を感じることが一般的です。また、膿が溜まることもあります。これらの症状は、感染が進行するにつれて悪化する可能性があります。

原因
癰の最も一般的な原因菌は、黄色ブドウ球菌です。この細菌は、皮膚の常在菌として存在することもありますが、免疫力が低下している場合や、皮膚に傷がある場合などに感染を引き起こしやすくなります。

好発部位と好発者
癰は、体のどの部位にも発生する可能性がありますが、特に背中、首、太ももなど、毛穴が多く、摩擦を受けやすい部位に多く見られます。糖尿病を患っている人は、免疫力が低下していることが多く、癰を発症しやすい傾向があります。また、不衛生な環境や、皮膚の清潔が保たれていない場合もリスクを高めます。

治療法
癰の治療は、主に以下の二つの方法が用いられます。

1. 抗生物質による治療: 細菌感染を抑えるために、抗生物質の内服薬が処方されます。これにより、炎症の進行を食い止め、症状の改善を促します。
2. 外科的治療: 膿が溜まっている場合や、症状が重篤な場合には、皮膚を切開して膿を排出する必要があります。これにより、感染源を取り除き、治癒を促進します。

注意点
癰は、放置すると重症化する可能性があり、蜂窩織炎などの合併症を引き起こすことがあります。そのため、早期の治療が重要です。自己判断で市販薬を使用するのではなく、皮膚科専門医を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。また、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、特に注意が必要です。

予防策
癰を予防するためには、以下の点を心がけましょう。

皮膚を清潔に保つ。
傷がある場合は、適切に消毒する。
免疫力を高めるために、バランスの取れた食事と十分な睡眠をとる。
糖尿病などの基礎疾患がある場合は、適切にコントロールする。

関連疾患
癰と関連する疾患としては、以下のものがあります。

癤（せつ、おでき）：単一の毛穴の感染。
毛嚢炎：毛穴の炎症。
面疔：顔面にできる毛嚢炎の一種。
瘭疽：爪の周囲の感染症。
* 蜂窩織炎：皮膚の深部組織の感染症。

その他
癰は、適切な治療を行えば比較的早く治癒する疾患ですが、自己判断で放置すると重症化するリスクがあります。皮膚に異常を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

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