登極令

登極令（とうきょくれい）

登極令は、明治42年2月11日に皇室令第1号として公布された、大日本帝国憲法および旧皇室典範下における天皇の践祚（せんそ）、即位礼（そくいれい）、大嘗祭（だいじょうさい）、元号（げんごう）について規定した皇室令です。1909年2月11日に公布され、後に附式が修正されました。

1947年（昭和22年）5月1日に公布された「皇室令及附属法令廃止ノ件」（昭和22年皇室令第12号）により、日本国憲法および現皇室典範の施行前日である同年5月2日をもって廃止されました。

概要

登極令は、本令18条および附式二編で構成されています。主な規定内容は以下の通りです。

践祚: 天皇が崩御された際、皇位を継承することを指します。掌典長が賢所において祭典を行い、践祚の旨を皇霊殿、神殿に奉告することと定められていました。
改元: 践祚後、直ちに元号を改めることが義務付けられていました（一世一元の制）。元号は、枢密顧問官への諮詢を経て天皇が決定し、詔書によって公布されました。
即位の礼・大嘗祭: 即位の礼および大嘗祭は、秋冬の間に行われ、これらの儀式を円滑に進めるため、宮中に大礼使が置かれました。これらの儀式を行う期日は、宮内大臣および国務大臣の連署によって公告されました。
儀式の期日: 即位の礼および大嘗祭を行う期日が決定すると、宮中三殿（賢所、皇霊殿、神殿）に奉告され、勅使が神宮、神武天皇山陵、および先帝四代の山陵に奉幣することとされました。
斎田: 大嘗祭で使用する斎田は、京都以東以南を悠紀（ゆき）地方、京都以西以北を主基（すき）地方とし、それぞれの地方は天皇が決定しました。
天皇の動静: 即位の礼に先立ち、天皇は神器を奉じ、皇后とともに京都の皇宮に移ることとされていました。即位の礼当日には、勅使が皇霊殿、神殿に派遣され、儀式を報告しました。大嘗祭当日には、勅使が神宮、皇霊殿、神殿、官幣大社、国幣大社に派遣され、奉幣を行いました。
鎮魂の式: 大嘗祭の前日には、鎮魂の式が執り行われました。
儀式後の行事: 即位の礼および大嘗祭終了後には、大餐が催され、天皇は皇后とともに神宮、神武天皇山陵、および先帝四代の山陵に謁しました。東京宮城に還幸した際には、天皇・皇后共に皇霊殿、神殿に謁しました。
* 諒闇中: 諒闇（りょうあん）中、つまり天皇や皇族が喪に服している期間は、即位の礼および大嘗祭は行われないものとされました。

附式には、登極令の規定に関する詳細な儀式の次第が記されています。

もう一度検索