白い悪魔 (映画)

『白い悪魔』とは

1958年1月22日に劇場公開された日本映画が『白い悪魔』（しろいあくま）です。この作品は、日活によって製作され、配給も同社が担当しました。本作は、小説家である原田康子の著書『夜の出帆』を原作としており、その内容を映画用の脚本として脚色し、映像化されたものです。作品の形式はモノクロームで、画面アスペクト比はスタンダードサイズが採用されています。

製作体制

この映画の製作には、各分野の専門家が集結しました。製作を総括したのは水の江瀧子です。物語の源泉となったのは、前述の通り原田康子の小説『夜の出帆』です。この原作を基に、映画のストーリーを構成し、台詞などを書き起こした脚本は植草圭之助が担当しました。

作品全体の雰囲気を決定づける音楽は牧野由多可が手がけ、映像世界に音による彩りを加えています。カメラを通して物語を視覚的に捉える役割を担った撮影は横山実が、映画の舞台となる空間や背景を作り上げた美術は坂口武玄が担当しました。また、登場人物の台詞や効果音などの音声を収録・調整した録音は沼倉範夫が、光の演出によって映像表現を豊かにした照明は森年男がそれぞれ務めました。そして、これらの要素をまとめ上げ、作品を完成へと導いた監督は齋藤武市です。

出演者たち

『白い悪魔』の物語を演じた俳優陣は以下の通りです。

中心的な人物の一人、牟田口克介を演じたのは森雅之です。その妻である牟田口朝子役には野添ひとみがキャスティングされました。白戸宗太郎には清水将夫が配役されています。物語に登場する木谷を大森義雄が、小沢邦子を渡辺美佐子が演じるなど、当時の実力派俳優が名を連ねています。

また、外国人キャラクターであるピーター役には岡田眞澄が出演しました。さらに、岡本役として小林旭が、吉田役として秋津礼二が、関口役として関口悦郎がそれぞれ登場します。脇を固めるキャストも充実しており、とよを田中筆子が、安子を谷和子が、芳子を泉桂子が、有本を浜村純が演じるなど、多彩な俳優たちが物語に深みとリアリティを与えています。これらの俳優たちが、それぞれの役柄を通じて人間模様を表現し、『白い悪魔』のドラマを構築しました。

映画の形式と背景

本作が採用しているモノクロームかつスタンダードサイズという形式は、1950年代後半の日本映画において一般的なものでした。モノクロ映像は、色彩がない代わりに光と影のコントラストを強調することができ、作品に独特の雰囲気や重厚感を与える効果があります。また、スタンダードサイズは当時の劇場用スクリーンにおいて標準的な画面比率でした。

製作・配給を行った日活は、この時期に多様なジャンルの作品を手がけており、『白い悪魔』のような文芸作品の映画化もその活動の一環でした。原田康子の原作を、実績のあるスタッフと魅力的なキャストで映像化した本作は、当時の日本映画界の一断面を示す作品と言えるでしょう。

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