清水将夫

清水将夫：舞台と映画を彩った名優

清水将夫（1908年10月5日 - 1975年10月5日）は、日本の俳優として、舞台と映画の両面で活躍した人物です。劇団民藝の中心メンバーとして知られ、黒澤明監督作品への出演など、幅広い役柄で存在感を示しました。生誕と死没が同日という、生涯にドラマを感じさせる俳優の一人です。

早期活動と映画界への転身

東京府東京市牛込区に生まれた清水は、明治中学時代からキリスト教青年会の演劇サークルに参加し、新劇に魅せられました。明治大学在学中は新劇俳優を目指し、大学中退後は畑中蓼坡率いる新劇協会で研鑽を積みました。新劇協会解散後は、仲間と共に市民座を旗揚げ。その後、築地小劇場にも参加するものの、すぐに帰京し、従兄の勧めで映画俳優へと転身します。

1931年、松竹蒲田撮影所に入社。当初は大部屋俳優でしたが、看板スターの独立という状況変化を受け、端正な容姿を買われ、主演作『桃色の誘惑』でデビューを果たしました。しかし、映画俳優としての疑問を感じ、1年ほどで松竹を退社します。

新興キネマ時代と水曜会、第一協団

1935年、新興キネマ東京撮影所に入社し、再び活躍の場を広げます。その後、同社の俳優仲間と研究会「水曜会」を結成するも、会社側の理解が得られず、フリーランスの俳優集団である第一協団を結成し、新興キネマを退社。この期間、多数の作品に主演または準主役として出演しました。

戦時中と戦後の活動

戦時中は、信欣三や宇野重吉らと移動劇団「瑞穂劇団」を結成し、各地を巡演。その後、滝沢修らと芸文座を創立。東宝とも契約を結びながら映画にも多数出演しました。応召で中国へ従軍した経験も持ち、戦後は滝沢修と共に民衆芸術劇場、そして劇団民藝の設立に参画しました。

劇団民藝での活躍と晩年

劇団民藝では、『炎の人』や『オットーと呼ばれる日本人』などの重要な役を演じ、中心的な俳優として活躍しました。堅実なバイプレイヤーとして映画やテレビドラマにも多数出演し、特に黒澤明監督作品には9作品に出演するなど、黒澤組の常連として知られています。溝口健二、山本薩夫など巨匠監督の作品にも数多く出演、日活のアクションや青春映画にも幅広く活躍しました。

1975年、劇団民藝の公演中に脊椎の病気で入院。肺炎を併発し、67歳で死去しました。生誕と死没が同日であったことは、彼の人生を象徴する出来事と言えるでしょう。

映画・テレビドラマ・舞台における代表作

清水将夫は、実に300本以上の映画に出演しました。その代表作として、黒澤明監督の『生きる』『椿三十郎』、溝口健二監督の『山椒大夫』、山本薩夫監督の『白い巨塔』など、多くの名作に脇役として出演しています。また、テレビドラマでも数多くの作品に出演し、幅広い世代に親しまれました。舞台では劇団民藝の主要メンバーとして、数々の重要な役を演じ、日本の演劇史に名を刻んでいます。彼の出演作は多岐に渡り、その演技力は高く評価されました。

俳優としての清水将夫

清水将夫は、端正な容姿と確かな演技力で、時代劇から現代劇まで、幅広い役柄を演じきりました。主演作品から脇役まで、どの役にも真摯に向き合い、存在感のある演技で視聴者・観客を魅了しました。その人柄も高く評価され、多くの人から尊敬を集めました。多様なジャンルの作品に出演し、名バイプレイヤーとしての地位を確立した清水将夫は、日本の演劇・映画史において重要な存在として記憶されています。

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