白い沈黙

白い沈黙

『白い沈黙』（原題: Captives、米題: The Captive）は、2014年にカナダで製作されたスリラー映画です。アトム・エゴヤンが監督を務め、ライアン・レイノルズが主演を務めています。

あらすじ

物語は、主人公マシューが食料品店に立ち寄り、車に戻ったところから始まります。後部座席にいたはずの娘、キャスが忽然と姿を消していたのです。この予期せぬ出来事は、それまで平穏だったマシューの家庭を崩壊させます。妻のティナは夫であるマシューが娘に対して何かしたのではないかと疑念を抱き、警察もまたマシューが失踪の真相を知っているのではないかと見ていました。

娘の失踪から8年後、状況は一変します。2人の刑事がインターネット上で、成長したキャスと思われる人物の近影を発見したのです。これを機に、マシューは失われた家族の幸せを取り戻すため、娘の捜索に再び全身全霊を傾けることになります。

キャスト

本作には以下の俳優が出演し、物語を彩っています。括弧内は日本語吹替版のキャストです。

マシュー・レイン - ライアン・レイノルズ（内田夕夜）
ジェフリー・コーンウォール - スコット・スピードマン（川島得愛）
ニコール・ダンロップ - ロザリオ・ドーソン（本田貴子）
ティナ・レイン - ミレイユ・イーノス（まつだ志緒理）
ミカ - ケヴィン・デュランド（綱島郷太郎）
キャス・レイン - アレクシア・ファスト（槙乃萌美）
幼少期のキャス - ペイトン・ケネディ
ヴィンス - ブルース・グリーンウッド
テディ - ブレンダン・ガル
マイク - アーロン・プール
サム - ジェイソン・ブリッカー
アルバート - エイダン・シプリー
ウィリー - イアン・マシューズ
ヴィッキー - クリスティン・ホーム
* ジェニファー - エラ・バレンタイン

製作とマーケティング

本作の主要撮影は、2013年2月にカナダのオンタリオ州サドバリーで開始されました。完成後、2014年5月にはA24が本作の北米における配給権を獲得しています。

マーケティング活動としては、2014年7月10日に最初の予告編が公開され、同年11月18日には第2弾の予告編が公開されました。

公開

『白い沈黙』は、2014年5月に開催された第67回カンヌ国際映画祭で初めて上映され、最高賞を競うコンペティション部門にも出品されました。カナダ国内では、同年9月5日に限定公開され、およそ45万ドルの興行収入を記録しました。テレビ放送としては、11月13日にディレクTVで放映され、12月12日からはオンデマンド配信も開始されました。

評価

カンヌ国際映画祭でのプレミア上映後、本作に対する批評家からの評価は概して厳しいものでした。『バラエティ』誌のジャスティン・チャンは、本作を「滑稽なスリラー映画」と評し、アトム・エゴヤン監督が「セルフ・パロディの領域に入ってしまった」と手厳しく批判しました。『ガーディアン』紙のピーター・ブラッドショーも、「誘拐というシリアスな題材が、甘ったるいファンタジーの中に持ち込まれている」とコメントしています。『ロサンゼルス・タイムズ』は、感情やミステリーの描写における巧みなシーンを認めつつも、「お粗末な誘拐事件」のプロットによってその良さが台無しになっていると指摘しました。

映画批評集積サイトRotten Tomatoesでは、48件のレビューに基づく批評家支持率は29%と低く、平均点は10点満点中4.2点となっています。サイトの総評では、エゴヤン監督による「美しく、いい雰囲気の画面」は評価する一方で、全体としては「痛ましくなるような出来栄えで、迫力にも欠ける作品」と結論づけられています。また、Metacriticには19件のレビューが集計されており、加重平均値は100点満点中36点と、こちらも厳しい評価が示されています。

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