白ナイル州

白ナイル州

スーダン共和国の中央部に位置する白ナイル州（النيل الأبيض、al-Nīl al-Abyaḍ）は、その名の通り、雄大な白ナイル川沿いに広がる重要な行政区域です。この州は、スーダンの国土の約3万平方キロメートルを占め、2018年の推計では約249万人に及ぶ人々が暮らしています。州の政治・経済の中心地はラバクに置かれており、その他にもクースティーやエッドエイムといった主要な都市が存在し、それぞれの地域社会を形成しています。

白ナイル州の地理的な特徴は、何と言っても白ナイル川の存在に集約されます。この大河は、州の景観を形作るだけでなく、人々の生活や産業に深く関わっています。特に重要なインフラストラクチャとして、1937年に建設されたジャバル・アウリアダムが挙げられます。このダムは、スーダン国内に存在するダムの中で2番目に古い歴史を持つ構造物であり、その建設は州、さらにはスーダン全体の発展に大きな影響を与えました。

ジャバル・アウリアダムの建設目的の一つは、電力供給です。このダムは豊富な水資源を利用して大規模な発電能力を備えており、地域に安定した電力を供給する上で不可欠な役割を果たしています。電気は、現代社会におけるあらゆる活動の基盤であり、産業の振興や人々の生活水準の向上に貢献しています。

また、ジャバル・アウリアダムの建設は、白ナイル川の航行にも変化をもたらしました。ダムが設置されたことで、その上流部分における川の底の傾斜（河床勾配）の急峻さが緩和されました。この物理的な変化は、白ナイル川を利用した水上交通に有利に働きました。特に、州の上流に位置するジュバ（現在の南スーダンの首都）との間を結ぶ船舶による交通が、ダム建設後に以前にも増して活発になったとされています。河川交通は、陸上交通が未発達な地域においては、人や物資を輸送する上で極めて重要な手段となります。ジャバル・アウリアダムによる航行条件の改善は、これらの地域間の交流や貿易を促進し、経済的な結びつきを強化する効果をもたらしたと考えられます。

白ナイル州は、白ナイル川という自然の恵みと、ジャバル・アウリアダムのような人工的な構築物の双方によって支えられています。州都ラバクを中心とした行政機能、クースティーやエッドエイムといった都市部の発展、そしてジャバル・アウリアダムによる電力供給と河川交通の活性化は、この州の多様な側面を示しています。スーダンの歴史や社会を理解する上で、白ナイル州とその中心にある白ナイル川、そしてジャバル・アウリアダムの存在は欠かせない要素と言えるでしょう。

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