白仁甫

白仁甫について

白仁甫（はく じんほ、1226年 - 1306年頃）は、金・元代に活躍した元曲の作家として知られています。彼の名は仁甫で、字は樸、号は蘭谷です。河北省の真定にこの地に生まれた白仁甫は、関漢卿、馬致遠、鄭光祖と共に「元曲四大家」として称えられ、その作品は後世に大きな影響を与えました。

生い立ちと背景

白仁甫は代々官僚を輩出する家系に生まれましたが、モンゴルの侵攻によって彼の家は壊滅的な打撃を受けました。金朝の都、開封が陥落するとともに家族がバラバラになり、彼は困難な状況に直面します。しかし、当時の有力者である元好問の庇護を受けることになりました。この庇護は、彼の家系と元好問の家系が長い間親交を持っていたことから生まれたものであり、元好問は白仁甫の才能を認め、子供のように育てました。

1237年、白仁甫は父の白華が無事であることを知り、再び彼の元へ戻りました。白華は真定で漢人世侯史天沢に仕えていました。白仁甫は史天沢の推薦で元朝に仕官するよう勧められましたが、彼はこの提案を辞退します。1261年からは各地を転々としながら生活し、真定にいる間に戯曲の創作を始めることとなりました。彼は作家として生計を立てるようになり、やがて南宋の滅亡後、1280年ごろには建康（南京）に定住することになります。白仁甫は生涯を通じて元朝には仕えず、隠遁者のような生活を送り、80歳くらいまで生きたと言われています。

代表的な作品

白仁甫の代表作としては、『梧桐雨』が挙げられます。この作品は、唐の玄宗と楊貴妃の悲恋を描いたもので、多くの人々に愛されています。また、恋愛をテーマとした『牆頭馬上』は、その後崑曲に改作されるなど、広く知られた作品となっています。さらに、『東牆記』も彼の作品の一つであり、いずれも中国の戯曲文学において重要な位置を占めています。

白仁甫の作品は、彼の人間性や時代背景を色濃く反映しており、文学において特別な存在感を放っています。彼の創作した元曲は、単なる娯楽にとどまらず、歴史的、文化的な深みを持つものとして今もなお評価されています。

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