白妙 (駆逐艦)

帝国海軍駆逐艦「白妙」

駆逐艦「白妙」（しろたえ）は、大日本帝国海軍における初代神風型駆逐艦の22番艦として建造された艦艇です。旧仮名表記では「しろたへ」と記されます。

建造経緯

本艦は、製造番号第22号として1905年（明治38年）2月15日に命名されました。同年7月25日、長崎にある三菱造船所（船番168）で起工され、翌1906年（明治39年）7月30日に無事進水しました。その後、8月15日には駆逐艦として正式に類別されます。

引渡予行運転では29.113ノットの高速を記録しましたが、その後の開放検査で右舷の中圧気筒に微細な亀裂が2箇所発見されました。運用に大きな支障はないと判断されましたが、竣工後に当該箇所の交換が決定されます。書類上は1906年11月20日付で竣工扱いとなり、11月22日に海軍へ引き渡されました。実際にドックを出たのは翌11月23日のことです。

就役後の活動

竣工後、「白妙」は第一予備駆逐艦に指定され、佐世保海軍工廠にて兵装工事を含む整備が行われました。初期に発見された気筒の亀裂については、1907年（明治40年）2月12日から長崎で交換工事が実施され、同年3月7日に完了しています。

整備完了後、本艦は朝鮮半島南岸方面での警備任務に従事しました。1907年3月19日に佐世保軍港を出航し、韓国南岸を航海した後、3月25日に佐世保へ帰港しています。同年6月には長崎の三菱造船所のドックに入り、艦底塗装を実施。8月1日時点では第二艦隊に所属し、朝鮮半島海洲港に停泊していました。

同年9月1日には第一予備駆逐艦（第九駆逐隊所属）として佐世保で小規模な修理を受けました。その後も韓国南岸への航海を重ね、10月から11月にかけては缶室送風機の修理を実施。11月12日に佐世保を出航し、韓国南岸を航海して11月19日に帰港しています。

11月25日からは、佐世保において艤装の改良工事や主機の分解修理を含む大規模な機関修理が行われました。12月25日にはドックに入り艦底の塗料交換も実施。これらの改修工事は翌1908年（明治41年）1月中旬に終了する予定で進められました。1908年3月にも韓国南岸への航海記録が残されています。

座礁事故

1909年（明治42年）11月12日夜、助薬島の南方を駆逐隊の4番艦として航行中、本艦は暗闇の中で海岸線が不明瞭であったこと、また潮流による艦位測定のずれなどが重なり、陸岸に約50メートルまで接近しました。危険を察知し、午後10時24分に後進全速をかけましたが、避けきれずに陸岸に接触してしまいます。

幸い、損傷は軽微でしたが、艦首下方部分がフレーム番号7の箇所まで屈曲する被害を受けました。この損傷の修理のため、本艦は佐世保海軍工廠で約10日間の入渠修理を受けました。

第一次世界大戦と喪失

1912年（大正元年）8月28日、帝国海軍の艦艇類別等級が改定され、「白妙」は三等駆逐艦に類別変更されました。

1914年（大正3年）、第一次世界大戦が勃発すると、「白妙」はこれに参加しました。8月17日に佐世保を出航し、中国方面で警備任務に就いた後、8月23日からは本格的に大戦に参戦し、青島の戦いにおいて作戦行動に従事しました。

しかし、同年8月31日午前2時、膠州湾外の霊山島沖で座礁するという不幸に見舞われます。座礁した本艦は、懸命な離礁作業にもかかわらず、9月4日に遂に沈没してしまいました。

この喪失に伴い、「白妙」は1914年10月29日付で除籍され、帝国海軍の艦艇リストからその名を消しました。短いながらも、建造、整備、警備、事故、そして大戦への参加という多難な艦歴を送った駆逐艦でした。

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