白朗

白朗（はく ろう）とは

白朗は中華民国時代に活躍した土匪で、名は永丞、字は明心、通称は白狼と呼ばれていました。彼の事績は辛亥革命の勃発から始まり、当時の中国における混乱した状況を反映したものとなっています。

辛亥革命とその後の活動

1911年10月、辛亥革命が発生すると、白朗は宝豊において挙兵します。初めはわずか20数人の兵と小銃1本だけでしたが、徐々に周辺の民兵を糾合し、1912年には兵力が500人に達して河南省西部でのゲリラ戦を展開しました。その後、1913年に入ると、第二革命が勃発し、南方の革命党からの支援を受けつつ袁世凱政権に対する反乱を起こしました。

この結果、白朗は京漢線の安全を脅かす存在となりましたが、袁世凱は湖北・河南・陝西の3省から連合軍を結成して白朗を包囲しました。しかし意外にも、その中の陝西の部隊が反乱を起こし、白朗軍に参加したことで、白朗の軍はその兵力と装備が大幅に強化され、その後「中華民国扶漢討袁司令大都督」と自称するようになりました。

袁世凱軍との戦闘

1914年2月、白朗軍は袁世凱軍の包囲を突破し安徽省に侵入します。しかし、袁世凱は段祺瑞を総司令として精鋭の北洋軍を動かし、白朗を追撃しました。白朗は安徽省から湖北省に逃れ、3月8日に老河口を占領しました。このとき、彼の兵力は2万人に達していたとされています。その後、白朗は西進を決意し、陝西省に入りますが、現地の駐防軍との戦闘に勝利する一方で、満足な拠点を築くことに失敗し、最終的には河南省に撤退することになります。

その後、白朗は袁世凱軍の防衛線を突破し6月には河南省に戻ることに成功しますが、彼の軍は大きな損失を被っていました。このため、白朗は軍隊を分散し、ゲリラ戦に移行せざるを得なくなります。その結果として、白朗軍は各個撃破され、最終的に宝豊の戦いで包囲されてしまいました。

最後の戦いとその死

包囲を突破する際、白朗は負傷し、8月5日に石荘で亡くなります。享年は42歳でした。彼の運命は、混沌とした時代の中で、どのように戦い、そしていかに終焉を迎えたのかを示すものと言えるでしょう。

日本人の関与

興味深い点として、白朗の軍には1913年10月から1914年1月まで、中国名「王鉄石」として活動していた日本人の工藤鉄三郎が存在しました。彼は白朗の軍に加わった後、革命の活動に参加するようになり、孫文や黄興との接点を持つことになります。しかし、彼らは白朗軍との連携を拒否し、白朗軍の行動が革命派にとっていかにリスクを伴うものであるかを指摘しました。このように、白朗は革命の現場で様々な複雑な人間関係と問題を生み出した存在でもありました。

参考文献

• - 杜春和「白朗」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第2巻』中華書局、1980年。
• - 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。

もう一度検索