白水隆

白水隆（しろうず たかし）

白水隆（1917年9月14日 - 2004年4月2日）は、日本の昆虫学者であり、九州大学名誉教授でした。専門はチョウ類の分類学、生物地理学であり、日本および東アジアのチョウ類研究において、多大な功績を残しました。

経歴

福岡県福岡市に生まれた白水隆は、1938年に旧制宮崎高等農林学校（現在の宮崎大学農学部）を卒業。その後、1941年に九州帝国大学農学部を卒業しました。1942年2月に九州帝国大学農学部の副手となり、同年6月には助手となります。太平洋戦争中には召集令状を受けましたが、1年で除隊となり研究室に戻りました。戦後、九州大学教養部助教授を経て、1963年に九州大学教授に就任。1981年に定年退官し、同大学名誉教授となりました。

白水隆は、その研究業績が高く評価され、1979年には「チョウ自然史の研究」で西日本文化賞を受賞。勲二等瑞宝章も受章しています。また、国際鱗翅学会会長、日本鱗翅学会会長、日本昆虫学会会長、日本昆虫協会名誉会長を歴任するなど、学会の発展にも大きく貢献しました。

著書

白水隆は、数多くの著書を出版し、チョウ類研究の普及に貢献しました。主な著書として以下が挙げられます。

原色昆虫大図鑑――蝶蛾編、1959
原色台湾蝶類大図鑑、保育社、1960
日本の蝶 : 原色図鑑、北隆館、1965
チョウ、講談社、1981.4
日本産蝶類文献目録、北隆館、1985.6
白水隆著作集 1～2、白水隆先生退官記念事業会編集、白水隆先生退官記念事業会、1985.6
白水隆文庫 その1、ホシザキグリーン財団、白水文庫刊行会 編、ホシザキグリーン財団、2004.11
日本の蝶界回顧、発行者：白水房江 、2005.3
日本産蝶類標準図鑑、学習研究社、2006.8
白水隆アルバム : 日本蝶界の回想録、白水隆文庫刊行会 、2007.6

また、原章との共著による「原色日本蝶類幼虫大図鑑」シリーズや、黒子浩、杉繁郎との共著もあります。これらの著書は、チョウ類の形態、生態、分布などを詳細に解説し、研究者だけでなく、一般の愛好家にも広く利用されています。

編著・監修

白水隆は、編著や監修の分野でも活躍しました。主なものとして、日本産蝶類分布表（北隆館、1958）や日本産蝶類文献目録 続（白水隆文庫刊行会、2003.6）などがあります。また、ヘンリー・ジェームズ・ストヴィン・プライヤー著「日本蝶類図譜」の訳書の校訂も行いました。さらに、原色昆虫大圖鑑 第1巻(蝶・蛾篇)や学研の観察図鑑 1 (昆虫 1 チョウ・ガ・トンボ)などの監修も担当し、幅広い分野で貢献しました。

白水隆の研究は、日本のチョウ類研究の基礎を築き、その業績は今日でも高く評価されています。

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