白色テロ (台湾)

台湾における白色テロ

1949年の中国国民党による台湾支配以降、1987年の戒厳令解除まで、台湾では「白色テロ」と呼ばれる政治弾圧が継続されました。二・二八事件を端緒として、国民党政権は反体制派とみなされる国民を投獄・処刑するなど、厳しい弾圧を行いました。この期間、多数の国民が自由と人権を奪われ、その多くは冤罪でした。

白色テロ時代：弾圧と恐怖

白色テロは、国民党による徹底的な監視と密告を伴いました。反政府勢力の摘発と弾圧は容赦なく行われ、推定14万人が投獄、3000～4000人が処刑されたとされています。起訴の多くは1950年から1952年にかけて集中し、「匪諜」（中国共産党のスパイ）というレッテルが貼られ、処罰されました。

弾圧の対象は、国民党支配への反抗や共産主義への共鳴が疑われる者たちでした。特に知識人や社会のエリート層が標的となり、台湾独立運動に関わった団体も弾圧を受けました。しかし、明確な理由がない政治的迫害も多くありました。例えば、作家柏楊は漫画翻訳における表現を理由に投獄されました。

国民党支持者である外省人もまた、白色テロの犠牲者となりました。台湾へ避難してきた外省人の多くは、現地住民とは異なる立場に置かれ、使い捨てられるように扱われたケースもありました。しかし、白色テロを生き延びた外省人の中には、民主化運動や国民党の改革を推進した者もいました。後に総統となる李登輝も、尋問中に「お前を殺すのは蟻を踏むくらい簡単だ」と脅された経験を語っています。

戒厳令解除後：謝罪と追悼

1987年の戒厳令解除後、人々は徐々に二・二八事件や白色テロについて語ることを恐れなくなりました。1995年には李登輝総統が謝罪し、犠牲者への補償のための基金が設立されました。2008年には馬英九総統が追悼式を行い、政府を代表して謝罪しました。

主な白色テロ事件

白色テロは、多くの悲劇的な事件を生みました。主な事件として以下が挙げられます。

1947年：二・二八事件
1949年7月13日：澎湖七一三事件
1952年：義民中学事件、鹿窟事件
1953年：高砂族自治会事件
1949～1954年：関閉政策による海賊行為（トープス号事件など）
1960年：雷震事件
1961年：蘇東啓事件
1979年：美麗島事件
1980年2月28日：林家事件
1981年：陳文成事件
1984年：江南事件
1987年：三七事件

これらの事件は、台湾社会に深い傷跡を残しました。

白色テロを題材とした作品

二・二八事件や白色テロは、多くの芸術作品で描かれています。映画『悲情城市』『好男好女』『牯嶺街少年殺人事件』『GFBF』『流麻溝十五号』などが有名です。また、台湾系アメリカ人作家による小説も発表されています。さらに、戒厳令下の台湾を舞台としたゲーム『返校』も高い評価を得ています。音楽においても、珂拉琪の『萬千花蕊慈母悲哀』は白色テロ時代を暗喩したと解釈されることが多いです。

メモリアル

白色テロの犠牲者を悼む施設も整備されています。

二二八和平公園
景美人権文化園区
緑島人権文化園区
* 天馬茶房

これらの施設は、歴史を語り継ぎ、二度とこのような悲劇を繰り返さないための重要な役割を果たしています。

結論

白色テロは、台湾の歴史において、民主化への道のりを阻む大きな試練でした。戒厳令解除後、台湾は民主主義国家として発展を遂げましたが、この時代の経験は、人権と民主主義の重要性を改めて認識させるものです。

もう一度検索