白蛇伝 (1958年の映画)

概要

『白蛇伝』は、日本初のカラー長編アニメ映画として1958年に公開されました。この作品は、中国の四大民間説話である『白蛇伝』を題材にしており、当時の日本におけるアニメーション制作の新たな一歩を示すものでした。

本作は、音響技術や映像美術など様々な面で当時の技術を駆使して制作されました。製作を担当したのは東映動画（現在の東映アニメーション）で、スタンダード作品として79分という長さを誇ります。公開日は1958年10月22日であり、昭和33年度の芸術祭にも参加しました。これは文部省によっても承認され、家庭向けの良質なエンターテイメントとして広く受け入れられました。

特に注目すべきは、声優陣の豪華さです。森繁久彌や宮城まり子が声を担当しており、彼らの台詞は劇作家の矢代静一によって脚本化されています。また、この作品は東映の映画作品に初めて出演した森繁久彌にとっても特別な意義がありました。

制作の背景

『白蛇伝』の制作は、香港の映画『白夫人の妖恋』の成功がきっかけとなりました。この映画は、中国の伝説を基にした実写映画であり、高い興行成績を収めました。この成功を受け、東映はアニメ化を決定し、オリジナルの長編アニメ映画を制作することにしました。たくさんのスタッフが集められ、アニメの制作に向けたシステムを整えながら、約2年にわたり制作が進められました。

特に演出は、短編アニメ制作の経験が豊富な藪下泰司が手がけました。このような試みは、当時のアニメーション業界に新風をもたらしました。アニメーターの育成や撮影技術の開発が行われ、その後の日本のアニメ界を牽引する人材が生まれる礎となりました。

ストーリー

物語は、中国・宋の時代を舞台にしています。主人公の許仙は心優しい少年で、昔に飼っていたかわいい白蛇を捨ててしまったことを後悔していました。その後、嵐の夜、彼が捨てた白蛇は美しい少女に姿を変え、許仙の前に現れます。彼女は白娘と呼ばれ、彼女には小青という青魚の精が付き従っています。

二人は次第に惹かれあい、許仙は白娘と夢のような日々を過ごしますが、法海という高僧が彼らの恋を妨げようとします。白娘は許仙を救うため、自らの術を失うことを選び、国宝を持ち帰った彼が泥棒として捕まってしまいます。

許仙は蘇州へ追放され、過酷な労働を強いられますが、白娘はその愛を貫き、許仙を生き返らせるために竜王に助けを求めます。様々な試練を経て、最終的には二人の深い愛の力で彼らは幸福な結末を迎えることになります。

キャラクター

• - 許仙（しゅうせん）: 町で友人と暮らしている心優しい青年。
• - 白娘（ぱいにゃん）: 許仙の元ペットの白蛇が人間に化けた姿。
• - 小青（しゃおちん）: 白娘のお供で、青魚の精。
• - 法海（ほっかい）: 冒険の中で二人の恋を阻もうとする高僧。

受賞歴

『白蛇伝』は多くの祭典や映画賞において認識され、海外ではベルリン市民文化賞やベネチア国際児童映画祭特別賞を受賞しました。日本国内でも文部省選定やブルーリボン特別賞など、多くの栄誉を獲得しています。

影響と評価

この作品は、宮崎駿をはじめとする多くのアニメ作家に影響を与えました。彼らは『白蛇伝』に触発され、自らの作品を作り上げる原動力としました。また2017年には、「アニメの日」としてこの作品の公開日が選定され、日本のアニメ史の重要なマイルストーンとして認識されています。今日まで受け継がれ、愛され続ける作品です。

本作は、日本のアニメーション映画界の草創期の象徴として、今でも多くの人々に親しまれていることを忘れてはなりません。

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