白鯨との闘い

映画『白鯨との闘い』の概要

『白鯨との闘い』は、2015年にアメリカで制作されたヒューマン・アクション映画で、監督はロン・ハワード、主演にはクリス・ヘムズワースが名を連ねています。この作品は、ナサニエル・フィルブリックの著書『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇』を原作としています。タイトルについては、日本での公開当初「白鯨のいた海」という暫定的な邦題が付けられていましたが、後に正式に「白鯨との闘い」となる経緯がありました。

あらすじ

物語は1850年、アメリカの作家ハーマン・メルヴィルが、かつて捕鯨船エセックス号に乗っていたトーマスという男を訪れるところから始まります。トーマスは、巨大な白いマッコウクジラとの遭遇を生き延びた唯一の生存者でした。渋るトーマスから彼の壮絶な体験を聞きだすメルヴィルは、想像を超える物語の真実に迫ります。

物語の舞台は1819年、エセックス号が捕鯨基地ナンタケットを出港したところです。この船の船長は家柄で選ばれた未経験者のポラードであり、これに対し航海士のチェイスは不満を抱いていました。大海原での冒険は、14歳の孤児トーマスも乗り組むことになり、彼の人生の大きな転機となります。

エセックス号は一年以上の航海を経ながらも鯨油を集められず、最終的に未知の海域に向かうことを決定します。船員たちはマッコウクジラの大群を見つけ、そのなかに巨大で凶暴な白鯨がいることに気づきませんでした。狩りの最中、船員たちは白鯨に襲われ、エセックス号は沈没してしまいます。救命ボートに乗り込んだ数人の船員たちは、わずかな水と食料で漂流を始めます。

彼らは途中で無人島のデュシー島にたどり着き、その脆弱なサバイバルを強いられることに。食糧が尽きた後、生存のために死者の肉を食べるという過酷な選択をする事態にまで追い込まれます。九十日の漂流を経た後、救助されたのは船長のポラード、チェイス、そしてトーマスといったわずか数名だけでした。この体験はトーマスに傷跡を残し、彼は生涯にわたりその経験を語ることなく、苦しんで生きることになります。

映画の評価と制作背景

『白鯨との闘い』は、公開後に特に賛否が分かれました。レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは241件のレビューが寄せられ、支持率42%、平均点5.50/10と評価されています。また、Metacriticでも47件のレビューから平均値47/100という結果となりました。

この映画の制作にあたっては、映画化が過去にも試みられていて、2000年にミラマックスが映画化を目指しましたが、頓挫した経緯があります。主要な撮影は2013年9月に始まり、ロンドンやスペインのカナリア諸島などのロケ地を使用しました。

映画のキャスト

映画のキャストには、エセックス号の一等航海士を演じたクリス・ヘムズワースをはじめ、船長のジョージ・ポラード役をベンジャミン・ウォーカーが務めています。また、フランク・ディレインやトム・ホランドなどの若手俳優も出演しており、多彩なキャストが揃いました。特に、物語の核となるトーマスを演じたトム・ホランドの存在感も際立っています。彼の苦悩が、映画全体のテーマをより深く印象付けています。

このように『白鯨との闘い』は、サバイバルの厳しさや人間の内面的な苦悩を描き出す一作であり、視覚的にも文学的にも楽しめる映画となっています。

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