白鳩 (企業)

株式会社白鳩は、愛知県名古屋市南区に本社を構える日本の縫製メーカーです。その事業は、生活に密着した雑貨から医療機器分野に至るまで多岐にわたります。

事業概要

白鳩の事業の中で特筆すべきは、不織布マスクの製造です。同社は国内市場において高いシェアを占めており、現代の日本におけるマスク着用の習慣、いわゆる「マスク文化」の形成に大きく貢献した草分け的存在と見なされています。現在では、その優れた企画力と製造能力が評価され、国内大手製薬会社向けのOEM（相手先ブランドによる生産）供給が、同社の製品供給の大半を占める主要なビジネスモデルとなっています。

沿革

白鳩の歴史は、1950年（昭和25年）に横井正男氏がガーゼや布帛加工品の製造を開始したことに始まります。創業から8年後の1958年（昭和33年）には、株式会社横井正男商店として法人組織へと移行しました。事業は徐々に拡大し、1965年（昭和40年）にはヘアキャップや農作業用帽子、腕カバーといった新たな製品の製造を手掛けるようになります。

1968年（昭和43年）には、本社および工場を名古屋市瑞穂区から現在の南区へ移転し、これに合わせて社名を株式会社白鳩本舗と改称しました。その後、1976年（昭和51年）に再度社名を変更し、現在の株式会社白鳩となりました。

マスク事業への本格的な取り組みが始まったのは1984年（昭和59年）です。この年、同社は特に花粉症対策を意識したマスクの開発・製造に着手し、現代の機能性マスクの基礎を築きました。品質管理の重要性を認識し、2005年（平成17年）には国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001の認証を取得しています。さらに、医療分野への貢献を深めるため、2007年（平成19年）には医療機器製造業および高度管理医療機器販売業の許可を取得しました。

生産体制の強化も積極的に進められ、2013年（平成25年）には岩手県盛岡市に新たな生産拠点として盛岡工場を稼働させました。地域社会との繋がりを深める取り組みとして、2019年（平成31年）には女子軟式野球チーム「Shirohato Felix」を創設しています。

近年は事業のグローバル展開にも力を入れており、2020年（令和2年）にはオーストラリアのシドニーに「SHIROHATO AUSTRALIA」を設立しました。同年には、コア・テクノロジー株式会社を完全子会社化し、事業領域の拡大も図っています。翌2021年（令和3年）には、盛岡市内に盛岡第二工場を完成させ、国内生産能力を一層強化しました。さらに同年、アメリカにも「コア・テクノロジーUSA」を設立し、海外での事業基盤をさらに拡大しています。

事業所

国内には主要な生産拠点や開発拠点が置かれています。
南工場（愛知県名古屋市南区）
天白工場（愛知県名古屋市天白区）
盛岡工場、盛岡第二工場（岩手県盛岡市）
ラボ（愛知県名古屋市南区）

白鳩は、創業以来培ってきた縫製技術と、時代のニーズを捉えた製品開発力を背景に、特に不織布マスク分野で日本の公衆衛生に貢献してきました。OEM事業を通じて大手企業との連携を深めつつ、国内のみならず海外へも展開を進めるなど、持続的な成長を目指しています。

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