百万人の大合唱

百万人の大合唱 (1972)

『百万人の大合唱』は、近代放映が製作し1972年に公開された日本映画です。昭和30年代の福島県郡山市を舞台に、実際にあった音楽による暴力追放運動を基に、オールロケーションで制作されました。

あらすじ

郡山市の高校教師・新田司と、レコード店の娘で音楽教室の先生でもある渡部昭子を中心とした市民音楽グループは、吉田拓郎を招いて音楽会を企画します。しかし、地元暴力団・橋本組からの妨害を受け、音楽会は赤字に。新田は、暴力団への挨拶を怠ったことを工場主から指摘されます。

さらに、新田が顧問を務める高校の音楽部員が、不良少年・太田圭介にトランペットを奪われる事件が発生。圭介は橋本組の組員・清岡三郎に利用され、犯罪に手を染めていました。新田は圭介と出会い、彼が音楽に深い興味を持っていることに気づきます。

一方、郡山警察署は東京の暴力団・一心会の進出を察知し、暴力団排除計画を立てます。新田に告訴を勧めますが、清岡からの嫌がらせはエスカレート。研修で東京に行った新田は、指揮者の山本直純が歩行者天国で市民を巻き込んで合唱している姿に感銘を受け、郡山での合唱会を依頼します。山本は快諾し、市民合唱会を開催することで音楽グループの赤字を挽回しようと計画します。

しかし、清岡は合唱会の妨害を企て、圭介を利用しようとします。練習風景を見た圭介は、歌う人々の楽しそうな姿に心を打たれ、妨害を断念。清岡は圭介に新田を殴らせますが、新田は抵抗せず、圭介は殴ることができなくなってしまいます。

昭子は圭介に更生を促しますが、口論の末、圭介は昭子を襲おうとし、市民に追い詰められて転落死してしまいます。この事件をきっかけに、昭子は音楽の無力さを感じ、音楽グループを脱退。メンバーも減り、新田は一人で合唱会の準備を進めることになります。

圭介の火葬後、新田はユカリから、圭介が合唱練習で聞いた歌「生きているなら」を楽しそうに歌っていたことを聞かされます。新田は希望を見出し、活動を続けます。新聞記者の茂山が新田の活動を記事にし、暴力追放キャンペーンが展開され、街中に合唱が響き渡ります。

しかし、橋本組と一心会の抗争は激化し、ついに一般市民が巻き込まれる事件が発生。新田は非難されますが、合唱会が郡山市の後援を受けることになり、暴力追放が宣言され、暴力団組員が逮捕されます。

郡山市民会館で、ついに郡山市民音楽祭が開催されます。市長も来場し、清岡らの妨害を市民の歌声と拍手が打ち破ります。昭子やユカリ、娘を亡くした町村も合唱に参加し、山本直純の指揮のもと、「生きているなら」を歌い上げ、感動的なフィナーレを迎えます。

キャスト

新田司: 若林豪
渡部昭子: 酒井和歌子
山本直純: 山本直純（本人役）
吉田拓郎: 吉田拓郎（本人役）

スタッフ

監督: 須川栄三
音楽: 山本直純

備考

主題歌「生きているなら」の作詞は、久世光彦のペンネームである小谷夏。
公開当時、あさま山荘事件の影響で興行収入に影響が出た。
* 2006年にDVD化。

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