百薬の長 (椎名林檎のアルバム)

椎名林檎 リミックスアルバム『百薬の長』

『百薬の長』は、日本のシンガーソングライター椎名林檎が2022年11月30日に配信、2023年1月11日にCD発売したリミックスアルバムです。椎名林檎名義としては初の公式リミックスアルバムであり、国内外の豪華アーティストたちが参加したことで話題を呼びました。

アルバム概要

本作は、2019年のベストアルバム『ニュートンの林檎 〜初めてのベスト盤〜』以来となる椎名林檎名義のアルバムリリースです。リミックスには、国内からは鯵野滑郎、石野卓球、KID FRESINO、岡村靖幸、Ovall、大沢伸一、STUTS、砂原良徳が、海外からはイギリスのジャイルス・ピーターソン、object blue、韓国のMiso、アメリカのTelefon Tel Avivが参加しています。

当初、CDと配信は2022年11月30日に同時リリース予定でしたが、後述する特典グッズのデザインに関する問題が発生したため、CDの発売は2023年1月11日に延期されました。当初の予定日には、収録曲の先行配信が行われる形となりました。

収録曲

アルバムには、過去の代表曲のリミックスバージョンが収録されています。以下に収録曲と原曲について解説します。

1. あの世の門 ～Gate of Hades～ (Telefon Tel Aviv Version)
原曲: 2019年発売の6thアルバム『三毒史』収録曲
2. JL005便で ～Flight JL005～ (B747-246 Mix by Yoshinori Sunahara)
原曲: 2014年発売の5thアルバム『日出処』収録曲
3. ちちんぷいぷい ～Manipulate the time～ (Gilles Peterson’s Dark Jazz Remix)
原曲: 2014年発売の5thアルバム『日出処』収録曲
4. おとなの掟 ～Adult Code～ (object blue Pleasure Principle Remix)
原曲: 2017年発売の2ndカバーアルバム『逆輸入 〜航空局〜』収録曲
5. 長く短い祭 ～In Summer, Night～ (Yasuyuki Okamura 一寸 Remix)
原曲: 2015年発売の16thシングル『長く短い祭/神様、仏様|長く短い祭_神様、仏様』収録曲
6. カーネーション ～L'œillet～ (Ovall Remix)
原曲: 2011年発売の12thシングル『カーネーション』収録曲
7. 女の子は誰でも ～Fly Me To Heaven～ (STUTS Remix)
原曲: 2011年発売の東京事変7thシングル『空が鳴っている/女の子は誰でも|空が鳴っている_女の子は誰でも』収録曲
8. 丸ノ内サディスティック ～Marunouchi Sadistic～ (Miso Remix)
原曲: 2009年発売の4thアルバム『三文ゴシップ』収録曲
9. 浴室 ～la salle de bain～ (Takkyu Ishino Remix)
原曲: 2000年発売の2ndアルバム『勝訴ストリップ』収録曲
10. 意識 ～Consciously～ (Shinichi Osawa Remix feat. Daoko)
原曲: 2003年発売の8thシングル『茎 (STEM) 〜大名遊ビ編〜』収録曲
ラップパートにDAOKOが客演
11. 鶏と蛇と豚 ～Gate of Living～ (KID FRESINO REMIX)
原曲: 2019年発売の6thアルバム『三毒史』収録曲
12. いとをかし ～toogood～ (Ajino Namero Bon Voyage Remix)
原曲: 2022年発売の配信シングル『いとをかし』収録曲
鯵野滑郎がリミックスを担当

特典グッズに関する問題

本作には、通常版の他にユニバーサルミュージック公式通販サイト限定版が用意されていました。限定版には、マスク、マスクケース、ミニ巾着ポーチ、アクリルカードケースの特典グッズが付属する予定でした。

しかし、特典グッズのデザインに問題が発生しました。特に、アクリルカードケースのデザインが「ヘルプマーク」に酷似しており、マスクケースの柄が「赤十字マーク」に似ていると指摘されました。

ヘルプマークは、東京都が著作権と商標権を保有しており、販売や利益目的での使用は認められていません。また、赤十字マークは、ジュネーブ条約や関連法規で使用が厳格に制限されており、赤十字社や自衛隊の衛生部隊など、限られた組織のみが使用できます。

これらの問題を受け、ユニバーサルミュージックは特典グッズのデザインを改訂し、CDの発売を延期することを決定しました。その後、公式に謝罪を行い、グッズは会社が独自に企画立案したものであり、椎名林檎本人が監修したものではないことを説明しました。

今回の件は、ユニバーサルミュージックのコンプライアンス意識の欠如が原因であり、今後は制作物のチェック体制、社員向けのコンプライアンス教育を徹底し、再発防止に努めるとしています。

まとめ

『百薬の長』は、椎名林檎の楽曲を新たな視点で楽しめるリミックスアルバムです。豪華なアーティストたちが参加し、原曲とは異なる魅力が引き出されています。一方で、特典グッズのデザイン問題は、企業としての責任と倫理観について考えさせられる出来事でした。リミックスによる音楽の新たな可能性と、制作過程での教訓が込められた一枚と言えるでしょう。

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