的 (弓道)

弓道における的について

弓道は精密な技術が要求される武道であり、その競技において中心的な役割を果たすのが「的」です。的は、弓道や弓術の標的として用いられ、競技のルールや規定に従って設計・設置されています。ここでは、的の種類や仕組み、設置方法について詳しく解説します。

的の構造

近的競技で用いる的は、通常、木製の細長い板を丸めて作った「的枠」に的紙を貼り付けたものです。木製の的枠は、時間が経つにつれて狂いや損傷が起こることがあるため、最近では合板や樹脂製の綴じ目のない的枠も登場しています。的紙は、主に紙製のものが使われてきましたが、最近では破れにくいビニール製の的紙も普及し、多くの道場や学校で使用されています。

遠的競技で使用される的は、円形の畳の上に的紙を貼り付けたものが主流です。

設置方法

近的競技の的

近的競技の場合、的は射位から28メートル離れた位置に設置されます。的の中心は地上から27センチメートルの高さにあり、後方に5度傾けて設置されます。的を安土に固定するためには「侯串」と呼ばれるさすまた状の串が使われます。

遠的競技の的

一方、遠的競技の的は射位から60メートル離れた位置に置かれ、的の中心は地上から97センチメートルの高さにあり、後方に15度傾くように設置されます。

的の種類

的にはさまざまな種類があり、具体的な寸法やデザインは競技の種類によって異なります。以下に代表的な的をご紹介します。

近的用の的

• - 一般的な的: 直径36センチメートル、伝統的な寸法の一尺二寸に相当します。順位決定を行う場合には、直径24センチの24cm的が使用されることもあります。
• - 霞的: 中心から外側に向かって輪状に色分けされており、中心の白い円は物事の重要性を示す「正鵠」を表します。
• - 星的: 白地の中心に黒丸を描いた的で、大学弓道などで多く使用されます。
• - 得点的: 主に実業団の大会で使用され、得点が色で決まる形になっています。

遠的用の的

遠的競技では、直径100センチメートルの的が一般的に使用されます。的のデザインは、近的用の霞的と似た構造を持たされており、競技の形式に応じて、的中制や得点制が選ばれます。

特殊な的

また、弓道にはいくつかの特別な的も存在します。これらの的は余興や特別な催事で用いられることが多く、存在感のあるデザインや異なる形状が特徴です。

• - 金的: 直径三寸の的枠に金紙が貼られたもので、観賞目的として使用されます。
• - 扇的: 栃木県内で伝統的な射会の際に用いられ、扇の形をしています。
• - 花的: 花札の図柄を的紙に描いた大きな的です。
• - 地的: 地面に描いた円を的にし、矢を放つスタイルです。射手は的が見えない状態で射つため、高い技術が求められます。

おわりに

的は弓道において不可欠な要素であり、その種類や設置方法はストイックな訓練と競技を可能にします。的に関する知識を深めることで、弓道についての理解が一層豊かになることでしょう。

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