的場徹

的場 徹の生涯と業績

的場徹（まとば とおる）は、1920年7月10日に東京市有楽町に生まれた特撮監督であり、日本の映画界に多大な影響を与えた撮影技師である。特に彼の特撮作品は、リアル感を重視した手法で知られ、多くの名作を生み出した。

幼少期からの映画への憧れ

的場は幼少期から映画に魅了され、特に1937年にP.C.Lのエノケン映画を観た際には、トリック撮影に対する興味が芽生えた。彼の父と兄は画家であり、母は別の進路を望んでいたが、最終的には東京美術学校（現在の東京芸術大学）に進み、1938年に卒業後、日活多摩川撮影所に入社した。

映画界への道

1941年、大日本帝国陸軍に召集されて中国戦線に従軍。戦後、大映株式会社になった多摩川撮影所に復帰し、特撮の世界に深く関わるようになる。彼は先輩の渡辺五郎や横田達之と共に特撮課を設立し、日本の特撮映画界に革新をもたらした。特に、作画合成や光学合成を駆使したリアルな特撮技術が評価された。

代表作と受賞歴

1952年に『死の街を脱れて』で特撮の全般を担当し、その技術が 日本映画技術協会の「特殊技術賞」を受賞するきっかけとなった。また、1956年に本邦初の総天然色SF映画『宇宙人東京に現わる』では、ミニチュア技術と作画合成が高く評価される。

彼はその後も『ウルトラQ』や『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などの特撮テレビシリーズで特技監督を務め、特撮のスタイルを革新し続けた。特に円谷英二監督との出会いが彼にとってのターニングポイントとなり、彼のスタイルや考え方に影響を与えた。

円谷特技プロダクションとの関わり

1965年には円谷特技プロダクションに契約し、特技監督として数々の人気作品に参加。円谷プロとのコラボレーションを通じて、多くのヒット作を生み出し、特撮の世界における地位を確立した。彼は『ウルトラマン』シリーズの重要なエピソードで特技監督として活躍し、後の特撮演出手法に影響を与えた。

彼はまた、特撮だけでなくドキュメンタリー映画監督としても活動し、自閉症児の療養に関する作品など、多岐にわたるジャンルでの映画制作を行った。特に、「洋ちゃん」というシリーズは、多くの観客に感動を与えた。1980年代初頭までには、ヒューマン・ドキュメンタリー映画を中心に多くの作品を監督した。

晩年と legado

的場は1972年に日本映像研究所を設立し、映画撮影や特撮技術に関する著作活動も行った。彼のスタイルは、物語に溶け込む形でのリアルな特撮技術を重視し、円谷英二監督の作品と異なるアプローチを持っていた。

的場徹は1992年に亡くなるまで、多くの映画やテレビ作品に影響を与え続け、その業績は今なお日本の特撮界に受け継がれている。

主な作品

• - 映画:

- 『死の街を脱れて』（1952年）
- 『幻の馬』（1955年）
- 『宇宙人東京に現わる』（1956年）
- 『釈迦』（1961年）

• - テレビ:

- 『ウルトラQ』（1966年）
- 『ウルトラマン』（1966～1967年）
- 『ウルトラセブン』（1967～1968年）

彼の作品は、現在でも特撮愛好者の間で語り継がれ、特撮技術や映画制作への貢献は高く評価されている。また、彼の名前は、日本の特撮映画史において重要な存在であり続けている。

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