皆川完一

皆川完一：正倉院文書研究で知られた歴史学者

皆川完一（1928年3月24日-2011年10月28日）は、20世紀後半を代表する歴史学者の一人です。昭和から平成にかけて活躍し、日本の歴史研究、特に古代史研究に多大な貢献をしました。新潟県に生まれた皆川氏は、東京大学文学部国史学科を卒業後、同大学院に進学。その後、歴史研究の要となる史料編纂所に勤務することになります。

史料編纂所での貢献と研究活動

1956年から史料編纂所に勤務を開始した皆川氏は、着実にキャリアを積み重ねていきます。助手、助教授、教授と昇進し、1988年には定年退官、名誉教授となりました。史料編纂所では、日本の歴史研究に欠かせない数々の史料の編纂に携わりました。『花押かがみ』、『東大寺開田図』、『正倉院文書目録』など、現代の研究者にとっても貴重な史料の整備に尽力しました。その間も、国史大系『令集解』後編や『尊卑分脈』の校訂にも参加するなど、幅広い活動を行っていました。

正倉院文書研究：生涯の業績

皆川氏の研究活動において特に重要なのは、正倉院文書研究です。正倉院文書は、奈良時代の貴重な史料であり、その研究は日本の古代史研究に大きな影響を与えます。皆川氏は、正倉院文書の解読と分析に長年取り組み、数々の論文を発表しました。「光明皇后願経五月一日経の書写について」はその代表的な成果の一つであり、日本古文書学会編『日本古文書学論集3 古代Ⅰ』にも掲載されています。その専門性と貢献から、正倉院文書研究会初代代表も務めました。正倉院文書に関する彼の研究は、後世の歴史研究者たちに大きな足跡を残しました。

学会活動と教育活動

史料編纂所での勤務に加え、皆川氏は多くの学会活動にも参加していました。文化庁文化財保護審議会専門委員、新潟県史編纂委員会参与、日本歴史学会理事、日本古文書学会理事などを歴任し、日本の歴史研究の発展に貢献しました。また、愛知学院大学、中央大学で教授を務め、後進の育成にも力を注ぎました。多くの学生たちに歴史研究の楽しさと重要性を伝え、歴史学界に多くの優秀な人材を輩出しました。

著作活動

皆川氏は、研究成果を多くの著作物として発表しました。『正倉院文書と古代中世史料の研究』は、彼の長年の研究の集大成ともいえる代表作です。他にも、『古代中世史料学研究』、『国史大系書目解題』（山本信吉氏と共編）、『内閣文庫所藏史籍叢刊 古代中世篇』（益田宗氏、小口雅史氏、筧雅博氏らと編修委員）など、多くの編著書を世に送り出し、日本の歴史研究の進歩に貢献しました。これらの著作は、現在でも多くの研究者によって参照され、高く評価されています。

まとめ

皆川完一氏は、東京大学、史料編纂所、愛知学院大学、中央大学と、日本の歴史研究の中枢で活躍した著名な歴史学者でした。正倉院文書研究における貢献は特に大きく、その業績は日本の歴史研究に多大な影響を与えています。彼の研究は、これからも日本の古代史研究を支え続けるでしょう。

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