皆川達夫

皆川達夫の音楽への情熱

皆川達夫（1927年4月25日 - 2020年4月19日）は、日本屈指の音楽学者であり、特に西洋音楽史と日本のキリシタン音楽史における研究で知られる存在です。彼は立教大学で名誉[[教授]]として教鞭を執り、多くの学生に音楽の魅力を伝えました。芸術学博士としての彼の業績は、国内外において高く評価されています。

幼少期からの音楽的背景

達夫は東京に生まれ、水戸藩士の家系に属し、幼少期から謡曲に親しみました。学校生活では能楽や歌舞伎への熱意を持ち、特に1940年には中世ヨーロッパの音楽に興味を持つようになります。この頃、彼はローマ・カトリック教会の典礼聖歌をSP[[レコード]]で聴き、日本の伝統芸[[能]]と西洋音楽の関連について深い関心を抱いたのです。

戦争と葛藤

彼の学生時代は昭和19年に徴兵の圧力を受けた時期でもあり、これは達夫にとって非常に苦しい経験でした。彼は「正義の戦争」に疑問を抱きつつも、避けるために医学部コースを選択しました。こうした戦争の過酷な体験は、彼の生涯にわたる反戦と平和への信念を培ったと言えるでしょう。

学問への道

1945年の敗戦後、達夫は東京大学に進学し、西洋音楽史の研究を始めます。1948年には大学に入学し、名だたる教授の下で学び、7ヵ国語を習得しました。1951年に卒業し、その後東京大学大学院に進学し、1952年には「中世音楽合唱団」を結成。1953年には大学院を修了し、東大の機関誌に論文を連載し始めました。

海外留学と学問の深化

1955年、フルブライト奨学金を得て渡米し、コロンビア大学とニューヨーク大学で学びます。そこで彼は、特に中世とルネサンスの音楽史について深く学び、1958年には帰国し立教大学に講師として採用されました。

教育者としての影響

立教大学では多くの人気講義を行い、その授業は多くの学生に支持されました。皆川は文学部キリスト教学科や大学院における教鞭も執り、後進の指導に力を注ぎました。彼の授業は、学術的な深さと同時に、ユーモアにあふれ、多くの学生の心をつかみました。また、教材としてLPレコードやCDが使用され、実演も取り入れられていました。

研究活動の幅広さ

皆川は多くの著名な著作や研究論文を発表し、バロック音楽やキリシタン音楽についての研究を深めました。特に1975年には平戸市の隠れキリシタンが歌い継いできた「歌オラショ」の研究に注力し、その成果は彼の博士論文「洋楽渡来考」に結実しました。この研究活動は、彼の音楽研究の集大成とも言えるもので、教会音楽と日本の音楽との間に存在する共通性を明らかにしました。

音楽と信仰

達夫は1988年にカトリック教会に入信し、信仰と音楽が互いに影響を与え合う姿を体現しました。彼の音楽研究は、人々の心に寄り添うものであり、音楽の持つ癒しの力を信じていました。

最後の足跡

2011年には『題名のない音楽会』に出演し、その後も精力的に講演や研究を続けました。2020年に老衰で帰天した彼は、音楽界に大きな足跡を残しました。終生を通じて音楽と信仰に捧げた彼の姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。彼の業績は音楽の世界において、今後も語り継がれるでしょう。

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