益田兼高

益田兼高：石見国の武将、益田氏の祖

益田兼高（ますだ かねたか）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて石見国（現在の島根県西部）で活躍した武将です。益田氏（御神本氏）の第4代当主であり、その名を歴史に刻んでいます。

生涯

兼高は、御神本氏第3代当主である御神本兼栄の長男として生まれました。初めは御神本兼経と名乗っていましたが、その後の活躍によって名を改めることになります。

治承・寿永の乱（源平合戦）において、石見国周辺の豪族が平家につくか、様子見をする中で、兼高は父である兼栄と共に源頼朝の呼びかけに応じました。これは石見国においては唯一の行動であり、兼高の決断が光ります。そして、一ノ谷の戦い（1184年）に参加し、その武勇を示しました。その功績により、元暦元年（1184年）には石見国の押領使に補任されました。

さらに、壇ノ浦の戦い（1185年）では平家の武将と相対し、兵船25艘を捕獲し、280人もの敵兵を討ち取るという目覚ましい戦功を挙げました。これらの功績によって、兼高は代々開発してきた益田庄や長野庄をはじめとした所領を安堵されました。父である兼栄と合わせると、鹿足郡を除く石見国一円に22ヶ所の所領を有するまでになり、石見国第一の豪族としての地位を確立しました。

壇ノ浦の戦いの後、名を兼高に改め、建久3年（1192年）には上府御神本から美濃郡益田の土居屋敷（現在の大谷居館跡）に移住し、ついに益田氏を名乗るようになりました。翌建久4年（1193年）には、七尾城の築城に着手し、その基盤を固めました。

神仏への崇敬

兼高は、神仏への崇敬も篤い人物でした。益田への移住の際には、上府から住吉神社を移転し、七尾城築城の際には城内に祇園社を創建しています。これらの行動からも、兼高の信仰心の深さがうかがえます。

その後

兼高の所領は、子の兼季、兼信（三隅氏の祖）、兼広（福屋氏の祖）によって分割相続されました。益田氏の当主は、長男である兼季が継承しました。兼高の築いた基盤は、その後も益田氏によって発展していくことになります。

益田兼高は、武将としての活躍だけでなく、地域への貢献、そして神仏への信仰を通じて、石見国の歴史に大きな足跡を残しました。その名は、今もなお語り継がれています。

参考資料

益田市誌編纂委員会編 『益田市誌』上巻 益田市、1975年。
廣田八穂 『益田風土記』 七尾郷土史会、1996年。

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