盛顒

盛顒（せい ぎょう、1418年 - 1492年）は、明代中期に活躍した官僚です。字は時望といい、常州府無錫県の出身です。父は盛文珪、母は馬氏という家庭に生まれました。

1451年（景泰2年）、科挙に合格し進士となると、河南道監察御史に任じられ、官僚としてのキャリアをスタートさせました。1457年（天順元年）には、御史の張鵬らと共に、当時権勢を誇っていた石亨と曹吉祥の不正を弾劾しようとしましたが、事前に情報が漏洩し、逆に石亨らに誣告され、束鹿知県に降格させられてしまいます。

しかし、束鹿県ではその行政手腕を発揮し、労役の不公平を正すための九則法を制定し、民衆の苦しみを軽減しました。母の死により一度は辞職しましたが、その復帰を願う民の声に応え、再び束鹿知県に任じられました。彼の評判を聞きつけた人々が彼の住む郊外に集まり、市場を形成したため、その場所は「清官店」と呼ばれるようになりました。

1464年（天順8年）に成化帝が即位すると、盛顒の治績が認められ、邵武府知府に抜擢されます。その後、より統治の困難な延平府知府に転じましたが、ここでもその手腕を発揮し、巡按御史からその功績を報告され、特別な褒章を賜りました。1473年（成化9年）には広西参政に、1476年（成化12年）には雲南右布政使に転任。父の死により再び辞職しますが、喪が明けると陝西左布政使として復帰し、飢饉の際には食糧の輸送を滞りなく行うなど、民政に尽力しました。

1481年（成化17年）には北京に召還され、刑部右侍郎に任じられます。その後、南京刑部右侍郎を経て、1484年（成化20年）には山東で発生した旱魃による飢饉と反乱に対応するため、左副都御史として山東巡撫に任命されます。着任するとすぐに大雨が降り、農作物が息を吹き返しました。救荒のために穀物を分け与えましたが、なお100万石以上の粟が残るほどでした。さらに、九則法を各地に広め、不正を行う官吏を降格させるなど、苛政を根絶しました。

1486年（成化22年）に高齢のため官職を辞し、1492年（弘治5年）1月26日に75歳でその生涯を閉じました。盛顒は、その清廉な人柄と卓越した行政手腕で民衆から敬愛され、明代の名官僚として後世に名を残しました。

彼の足跡は、『明史』巻162 列伝第50に詳細に記述されており、丘濬の『重編瓊台稿』巻23には「明故都察院左副都御史盛公墓誌銘」が収録されています。

盛顒は、不正を恐れず民を思う政治を行った人物であり、その姿勢は現代の官僚にも学ぶべき点が多いと言えるでしょう。

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