盟三五大切

『盟三五大切』について

概要

『盟三五大切』（かみかけて さんご たいせつ）は、四代目鶴屋南北が手掛けた歌舞伎の狂言で、文政8年9月に江戸の中村座で初演されました。この作品は、江戸時代における世話物としての特性を持ち、主に人間の感情や情景が描かれています。上演歴は長く、特に昭和51年に国立劇場で再上演されて以来、今でも人気が衰えない作品の一つです。

作品の背景

この作品は、当時非常に人気のあった『東海道四谷怪談』の後日譚や、並木五瓶の『五大力恋緘』の書き換え、さらには『仮名手本忠臣蔵』の外伝としての性格を持った物語が展開されています。ストーリーは、主人公が身を隠しつつ金策を企て、最終的に彼の過去と向き合う姿を描いています。

主要な登場人物

• - 薩摩源五兵衛: 実は不破数右衛門という元家臣。義士の一味に加わるため、百両を手に入れようと企む。
• - 芸者小万: 芸者として金を貢がせようとするが、実は源五兵衛を騙すための役割を担っている。
• - 船頭笹野屋三五郎: 実は徳右衛門の息子で、百両を調達しようと画策する。
• - 若党六七八右衛門: 源五兵衛の忠実な部下。
• - 賤ヶ谷伴右衛門: 実際にはごろつきの勘九郎で、源五兵衛を弄ぶ役回り。

あらすじ

作品は三幕六場の構成で進行します。序幕では、源五兵衛が浪人として窮地に陥り、百両を手に入れるために様々な人々と接触していきます。そして、深川の街を舞台に源五兵衛の心の葛藤や小万との関係が描かれます。彼らのやりとりが進む中で、源五兵衛は次第に彼自身の宿命に直面し、どの様にして百両を手に入れ、討ち入りを果たすのかが描かれます。

物語は、夫婦の愛や騙し合い、忠義の在り方を問うものとなっており、最終的には源五兵衛が数右衛門に戻り、義士としての道を歩むことになります。

狂言の組織

現在の上演格式は三幕で構成されています。各幕の内容の中で、情勢がどのように変化していくかが視覚的に体験できます。特に、主人公の葛藤や周囲の人々の反応が非常に生々しく描かれ、観客を引き込む力を持っています。

評価と影響

『盟三五大切』はその出来栄えから、初演当時はやや評価が低く見られましたが、現在では高い評価を受けています。特に南北の作劇術や、物語に込められた深いメッセージが、後の作品に大きな影響を与えました。現代の歌舞伎ファンからも支持され続けている理由がここにあります。

末尾

この作品は、単なるエンターテインメントだけでなく、感情と社会の矛盾を問いかける深いメッセージを持った傑作です。観る人に強い印象を与え、考えさせる力を持った作品であるため、今後も多くの人々に親しまれていくことでしょう。

もう一度検索