盧武鉉韓国大統領弾劾訴追

盧武鉉大統領弾劾訴追事件の詳細

盧武鉉（ノ・ムヒョン）韓国大統領の弾劾訴追は、2004年3月12日に韓国の国会で可決された重要な政治事件である。この事件は、彼の任期中における一連の政治的緊張と対立の結果として浮上してきたものであり、韓国政治の歴史に大きな影響を与えた。

経緯

盧武鉉は新千年民主党から選出された大統領であり、就任後は少数与党政権として様々な困難に直面した。特に彼の政権は、与党内の支持が分かれる中で、次第に弱体化していった。彼を支持していた一部の議員は、政治的立場の違いから「開かれたウリ党」を結成し、さらには民主党が下野する事態となった。この結果、盧武鉉の政権基盤はさらに脆弱になっていった。

発端となったのは、2004年2月26日に国会で取り上げられた南北首脳会談に関連する法案である。この法案は北朝鮮への送金に関する特別検察法案であり、民主党はこの法律に対して拒否権を発動するよう要求した。しかし、盧武鉉は拒否権を行使せず、法案が公布されたことが関係を悪化させた。さらに、イラク派兵に関する同意案においても、民主党内で多くの反対票が投じられたことから、大統領の影響力が揺らいでいることが明らかになった。

このような政治的混迷の中で、国民の信任を得ようと盧武鉉が再信任の国民投票を提案するも、主流の反対派であるハンナラ党がこれを拒否した。反進展の中、選挙不正資金疑惑が浮上し、さらに政情不安が増長していった。

弾劾訴追の可決

2004年3月12日、国会で盧武鉉に対する弾劾訴追が可決された。理由としては、選挙法の違反、側近による不正、経済政策の失敗が挙げられた。賛成票は193票、反対はわずか2票だった。この決定により、盧武鉉は大統領としての職務を停止され、国務総理の高建が職務を代行することとなった。またこの採決では、与党議員による議長席占拠といった混乱も生じた。

しかし、この弾劾訴追は国民からの反発を招いた。調査結果によると、約70%の国民が弾劾に反対しており、主要なメディアもこの反対の声を広く報道した。

弾劾訴追の棄却

弾劾訴追の賛否は、同年4月15日の国会議員総選挙の争点となり、結果としてウリ党は152議席を獲得する圧勝を収めた。この結果は盧武鉉に対する事実上の信任と見なされ、憲法裁判所は2004年5月14日、弾劾訴追を棄却することを決定した。

憲法裁判所は、盧武鉉の一部の行動が憲法に違反しているとは認めつつも、大統領職を罷免するに足る重大な違反ではないと判断した。また、側近たちの不正に関しては、彼が直接的に関与した証拠は確認できなかったと述べた。このような背景と結果が組み合わさり、盧武鉉は即座に大統領職に復帰することとなった。

この事件は、韓国の政治における信任と否定の闘争として印象づけられ、国会、裁判所、国民というそれぞれの立場から倫理的かつ法的な議論が交わされた。本事件は韓国の民主主義発展における重要な転換点となり、後の政権や政治文化にも影響を与えることとなった。

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