盲獣vs一寸法師

映画『盲獣vs一寸法師』解説

『盲獣vs一寸法師』は、2001年に製作され2004年に公開された日本映画。2005年に逝去した石井輝男監督の遺作として知られています。石井監督が、江戸川乱歩の『盲獣』、『一寸法師』、『踊る一寸法師』といった小説を融合させ、自ら脚本を手掛けた作品です。

制作の背景

1991年に映画界へ復帰した石井輝男監督は、つげ義春原作の作品などを経て、1998年からは自身のプロダクションで低予算映画の製作を開始。『ねじ式』、『地獄』に続き、本作が最後の低予算映画となりました。

特筆すべき点として、劇場公開作でありながら、石井監督作品としては初のデジタルビデオ撮影が行われたことが挙げられます。また、長年撮影技師としての経験を持つ石井監督自身が撮影を担当し、照明はベテランの野口素胖が担当しました。撮影助手には、後に映画監督となる本田隆一が参加し、実質的に彼が大部分を撮影したとされています。

公開までの道のり

2001年に完成したものの、配給元が決まらず、2004年にスローラーナーとの共同配給という形で、石井輝男プロダクションが自社配給を行いました。その後、DVDが発売され、アメリカでも異なるタイトルで発売されています。

物議を醸したエピソード

石井監督の遺作である本作は、2009年に田中美絵子議員（当時は菊池美絵子名義）が出演していたことが発覚し、ヌードシーンの存在が問題視される騒動がありました。また、2012年にはフィルム保存のため35ミリに変換され、銀座シネパトスで上映されています。

主演のリリー・フランキーは、脚本の結末が不明瞭だったため、塚本晋也に相談したところ、石井監督に直接尋ねるように勧められたというエピソードも残っています。

キャスト

小林紋三（小説家）：リリー・フランキー
明智小五郎：塚本晋也
盲獣：平山久能
一寸法師：リトル・フランキー
水木蘭子：藤田むつみ
山野百合枝：橋本麗香
丹下博士：丹波哲郎

スタッフ

プロデューサー・監督・脚本・撮影：石井輝男
原作：江戸川乱歩
照明：野口素胖
* 音楽：藤野智香

関連情報

本作は、江戸川乱歩の小説を原作としており、関連書籍も多数存在します。また、石井監督の過去作品や、他の監督による『一寸法師』を題材とした映画も存在します。

まとめ

『盲獣vs一寸法師』は、石井輝男監督の独特な世界観が色濃く反映された作品であり、その奇抜な設定や映像表現は、観る者に強烈な印象を与えます。遺作ということもあり、石井監督の才能を偲ぶ上で重要な作品と言えるでしょう。

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