直木孝次郎

直木孝次郎（1919年1月30日 - 2019年2月2日）は、日本の歴史学者で、特に日本古代史の研究において重要な業績を残しました。大阪市立大学の名誉[[教授]]であり、文学博士の学位を有しています。彼の研究は、日本古代史における重要な出来事や社会構造を解明する上で、不可欠なものとなっています。

生涯

兵庫県神戸市に生まれた直木は、旧制第一神戸中学校、第一高等学校を経て、京都帝国大学文学部史学科に進学しました。太平洋戦争の激化により、大学卒業後は海軍に入隊し、海軍中尉として終戦を迎えました。戦後、研究の道に戻り、京都帝国大学の特別研究生として研究活動を再開しました。

1950年には大阪市立大学に助手として着任し、その後、助[[教授]]、教授へと昇進しました。1969年には、学位論文『日本古代兵制史の研究』を京都大学に提出し、文学博士号を取得しました。1981年に大阪市立大学を退職し、同大学の名誉[[教授]]となりました。その後、岡山大学文学部教授として教鞭を執り、1984年に定年退職しました。さらに、相愛大学、甲子園短期大学でも教授を務め、後進の育成に尽力しました。1987年には、宮中歌会始の召人を務めました。

2019年2月2日、老衰のため逝去。

研究業績

直木の研究は、日本古代史の多岐にわたる分野を網羅しており、特に実証的な研究手法で知られています。弥生時代から奈良時代にかけての歴史、古代の兵制、社会構造、文化など、幅広いテーマに取り組みました。彼の研究は、史料を丹念に分析し、隠された歴史や史実を明らかにするもので、多くの研究者に影響を与えました。

特に、『日本古代兵制史の研究』は、日本古代の軍事制度について、詳細な分析を加えた画期的な研究であり、彼の代表的な業績の一つとして高く評価されています。また、全国の遺跡保存運動にも積極的に関わり、文化財の保護にも貢献しました。

受賞歴

直木は、その卓越した研究業績が認められ、数々の賞を受賞しています。1989年には大阪文化賞、2000年には第1回和島誠一賞、2003年には第11回井上靖文化賞を受賞しました。井上靖文化賞は、「実証に徹した穏健な論文は、弥生時代から奈良時代までにまたがって五百編にも及び、隠された歴史、史実に新たな光をあてた。また、全国の遺跡保存運動にも尽力した」という理由で贈られました。

家族・著書

直木の娘婿には、奈良大学名誉[[教授]]の東野治之がいます。

著書としては、全14冊に及ぶ著作集『直木孝次郎古代を語る』が吉川弘文館から刊行されています。その他、多数の単著、編著、共著、共編著があります。また、対談集として『古代史の真実を探究して-戦中・戦後の研究を振り返る』があります。

直木孝次郎は、日本古代史研究の発展に大きく貢献しただけでなく、教育者としても多くの人材を育成しました。彼の学問に対する真摯な姿勢と実証的な研究は、後世の研究者にとって、重要な模範となっています。

主要な著作

『直木孝次郎古代を語る』(全14冊) 吉川弘文館 2008年-2009年

対談

『古代史の真実を探究して-戦中・戦後の研究を振り返る』（対話講座なにわ塾叢書66）ブレーンセンター 1997年

論文

CiNii 直木孝次郎

参考

直木孝次郎「わたくしの学究生活をふり返る（『直木孝次郎 古代を語る』刊行記念インタビュー）」『本郷』第78号、吉川弘文館、2008年、2-10頁、NCID AN1046456X。

外部リンク

* 直木　孝次郎 - 吉川弘文館

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