直猶心流

直猶心流（ちょくゆうしんりゅう）

直猶心流は、日本の武道の一つであり、岡山藩に由来する剣術と鎖鎌術の流派です。この流派は、剣術のみにとどまらず、鎖鎌術も含まれており、それぞれの技術は現在では別々に伝えられています。特に鎖鎌術は、直心影流の薙刀術と関連が深く、熟練者が修行を行っています。

歴史と発展

この流派の創設者は小川次左衛門（元和年間）が知られています。彼は先代の猶心流を引き継ぎ、次いで直心影流を学び、その修行の末に直猶心流を生み出しました。流名には「直猶流」や「猶心一刀流」などの異なる呼称があります。

流派の歴史は、明治の初期まで遡りますが、特に重要な人物として十代目の岡山藩士・井上猶心斎が挙げられます。彼は20歳で免許を取得し、その後江戸で桃井春蔵から鏡新明智流を学びました。維新後の明治7年には兵庫県に「光武館」という道場を開き、直猶心流の剣術を指導しました。

井上猶心斎についての記録は、武芸流派大事典にも見ることができます。そこでは彼が直心影流と鏡新明智流の技術を融合させ、光武館を設立したことが述べられています。ただし、流派の初代と道場の設立の経緯に関する伝承が混ざりあっている可能性も指摘されています。

明治中期以降の継承

明治中期以降、流派は光武館とともに進化を続けます。二代目館長は旧西条藩士・園部正利で、彼は明治16年に剣道の修行を始め、猶心斎に入門しました。正利は猶心斎の娘と結婚し、光武館と流派を引き継ぎました。彼は後に剣道範士としても知られています。

園部正利の後、剣術は彼の先妻の子、園部猶之進が継承し、一方で鎖鎌術は正利の娘婿の園部繁八が引き継ぎました。こうして、直猶心流の鎖鎌術は直心影流薙刀術と共に伝わることとなります。現代では、直猶心流鎖鎌術は直心影流薙刀術の流派により、熟練者にのみ指導されています。

現状と活動

流派の歴史は続き、十二代目の継承者である園部正忠は、光武館で直猶心流剣術を指導しましたが、1945年の神戸大空襲による道場の焼失以降、指導を続けることが難しくなりました。しかし、彼に学んだ剣道家たちによって、「直猶心流剣術光武会」が活動を再開し、近年では全日本剣道演武大会などに出場することができました。

この流派は、三段階にわたる形が15本伝承されており、未だに厳格な修行が行われています。その一部の形として、「真之太刀」や「双之太刀」、「円光」などが存在し、各々が武道の精髄を表現しています。

直猶心流の精神と技術は、現代においても多くの武道愛好者に受け継がれており、今後の発展が期待されています。

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