直心影流薙刀術
直心影流薙刀術（じきしんかげりゅうなぎなたじゅつ）
直心影流薙刀術は、伝統的な薙刀術を中心とする古武道の一派であり、その流派を代表する組織として秀徳会が存在します。会員数は約600名に及び、日本古武道協会および日本古武道振興会に加盟しています。この流派の略称は「直心」であり、別名を「神影流薙刀」とも呼ばれています。直心影流は中世末期に創設され、鹿島神伝神影流を基にした技術体系が特徴です。
系譜
直心影流薙刀術は、松本備前守政元によって始まった鹿島神伝直心影流と同系譜を持ちます。基本的には同じ直心影流兵法の流れを受け継いでいますが、現在の薙刀術と鹿島神伝直心影流の間には技術的な違いがあります。特に、薙刀術および短刀術に焦点を当てる秀徳会と、剣術を重視する鹿島神伝直心影流は別組織として発展しています。また、松本備前守に由来する流派には鹿島神流もあり、これも同様の系譜を共有しています。
併伝武術
直心影流の第十五代宗家である園部秀雄の夫である園部正利が直猶心流を受け継いだため、以降はこの流派の一部である鎖鎌術が併伝されています。しかし、直猶心流の鎖鎌術を学ぶには、直心影流の短刀術を十分に習得している必要があります。そのため、この技術は一部の上層指導者しか修得することができません。直猶心流剣術に関しては、別の団体がその技法を保存・継承しています。
特徴
直心影流の薙刀術には、攻守を兼ね備えた技が多数存在し、特に小脇の構えや水車、風車といった技法が有名です。これらの技は、自然の動きに似た流麗さがあり、演武を観る者に強い印象を与えます。また、全日本なぎなた連盟の新しいなぎなたの成立にも深く関わっており、特に振り返しの技術は直心影流の特徴を色濃く反映しています。技巧の幅は広く、状況に応じて様々な技を駆使することが求められます。
用具・着装・所作
直心影流では「女薙刀」と呼ばれる巴形の小さな刃を持つ小薙刀を使用します。全日本なぎなた用の用具と比較すると柄が短く、軽量で扱いやすい特徴があります。剣術で使用する刀は直刀で反りが無く、鍔は付けられていません。
袴は結び切りで着用し、着付け方も流派によって異なります。折敷を行う際の姿勢も特徴的で、流派に応じた所作が求められます。
全国的普及
明治時代には直心影流第十五代宗家である園部秀雄が全国の剣豪を相手に連戦連勝を続け、その名声を確立しました。これにより、薙刀術は学校教育にも取り入れられることとなり、全国的な普及を実現しました。直心影流は多くの薙刀教員を育成し、国民の教育に大きく貢献してきました。その成果として、直心影流第十六代宗家の園部繁八が『国民学校 薙刀精義』を著し、技術の普及と伝承に努めました。
参考文献
関連項目
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