鏡新明智流

鏡新明智流

鏡新明智流（きょうしんめいちりゅう）は、日本の伝統的な剣術の流派であり、二刀流、居合術、契木術など、多様な技術を特徴とします。この流派は、安永年間（1772年 - 1780年）に創始され、流派名は戸田流抜刀術の形名「鏡心」に由来しています。後に「鏡心明智流」と名付けられ、さらに「鏡新明智流」という表記に改められましたが、いずれの表記も見られています。

流派の創始

初代桃井春蔵こと桃井直由は、安永2年（1773年）に日本橋南茅場町に士学館道場を設立し、自らが修得した戸田流、一刀流、柳生流、堀内流を統合して鏡心明智流を創り上げました。この道場で得た技術を基にした流派は、当時非常に注目を浴びましたが、他流派からの試合の要求が続く中で、直由自身は病気を理由にこれを避けることになりました。その結果、直由の養子である直一が負けが続いたことも影響し、流派の評判は低下していきました。

順調な発展と衰退

直一が2代目桃井春蔵を継ぐと、士学館道場は南八丁堀大富町蜊河岸（現中央区新富）に移転しました。4代目の桃井直正の時代、鏡新明智流は再び隆盛を迎え、特に安政3年（1856年）には武市瑞山や岡田以蔵といった維新志士が入門するなど、その名声を高めました。この時期、鏡新明智流は神道無念流や北辰一刀流と並ぶ幕末江戸三大道場の一つに数えられるようになりました。

明治12年（1879年）、警視庁は撃剣世話掛を設立し、鏡新明智流の高弟たちがその初期メンバーに抜擢されました。その後、警視庁で制定された形の中には、鏡新明智流の技が取り入れられ、流派の影響は後の剣道にまで及びました。

現在の状況

現在、鏡新明智流自体は失伝してしまいましたが、その末流である鏡心流においては、いくつかの抜刀形が伝承されています。また、警視流木太刀形や警視流立居合にも、鏡新明智流の形が残されているのです。さらに、支流である直猶心流剣術の組太刀名には、多くの部分で鏡新明智流の初伝が共通していることも注目されています。

参考文献

• - 『月刊剣道日本』1977年4月号「特集 江戸三大道場」、スキージャーナル
• - 『剣の達人111人データファイル』、新人物往来社

関連項目

• - 立身流: 幕末期に竹刀稽古法を取り入れるため、門人を士学館に留学させた流派です。

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