相島 (福岡県)

相島の概要

相島（あいのしま）は、福岡県糟屋郡新宮町に位置し、玄界灘に浮かぶ有人島です。島の面積は約1.22平方キロメートルで、新宮海岸から北西へ約8キロメートル離れた場所にあります。相島は筑前諸島の一部として離島振興法の適用を受けており、地域振興の施策が行われています。全島は「相島」として新宮町の大字に該当し、行政区として重要な位置を占めています。

地理

相島は、標高50～70メートルの台地が広がっています。島の東端には、海食によって穴のあいた岩である「めがね岩」も存在し、新宮町のシンボルとして描かれています。島の海岸はその形状から、夏の台風や冬の北西の風でも、比較的船の出入りがしやすい場所となっており、昔から急な荒天時の避難場所として利用されています。島内には住宅や港が東西に広がり、住民の生活の中心となっています。

島の人口は215人、令和2年の国勢調査によれば、117世帯が生活しています。教育機関としては新宮町立相島小学校と新宮町立新宮中学校の分校があり、また、無床の町立診療所も設置されています。消防は「少年消防クラブ」によって運営され、地域の防災活動に貢献しています。

相島は、北九州市小倉北区にある藍島とは別の島ですが、場所が近く、名前の読みも同じです。藍島も猫が多いことで知られています。

歴史

相島は、古代から重要な航路の要所として知られていました。『万葉集』や『日本書紀』などの古典文献にも登場しており、その名は「阿恵島」や「吾瓮（ミアヘ）」として記録されています。中世には、豊臣秀吉の配下武将たちがこの島に立ち寄り、千手観音像の航海安全を祈願するために石を積み上げたとされ、この石の山は「太閤潮井の石」として今も人々の記憶に残っています。また、近世には朝鮮通信使が必ず寄港し、客館や遠見番所が福岡藩によって設けられていました。現代においては、陸からアクセスできない海岸に多くのゴミが漂着している課題もあります。

観光

相島は「猫の島」としても知られており、多くの野良猫が暮らすことで有名です。英字新聞ジャパンタイムズや、アメリカのCNNニュースでも取り上げられ、訪れる観光客も多数います。島内では猫の保護活動が行われており、不妊去勢手術を実施して頭数の管理も試みられていますが、一部住民からは「猫が痩せている」との懸念の声もあります。

また、相島には海釣りのスポットが多く、漁港周辺で釣りを楽しむ人々の姿が見られます。歴史的な名所も点在しており、朝鮮通信使に関連した歴史的遺構や、自然石の信仰対象なども訪問の際に見ることができます。

名所・史跡

相島には多くの史跡が存在します。例えば、国の史跡に指定されている相島積石塚群や、海浜部の254基の古墳群があります。その他には、朝鮮通信使関連の墓地や日蒙供養塔、剣神社や若宮神社など歴史的な神社も点在しています。

交通

相島へのアクセスは、新宮町本土の新宮漁港から町営渡船を利用する必要があります。所要時間は約17分で、夏季と冬季で運航本数が異なります。新宮漁港には無料の駐車場が用意されており、その間にコミュニティバスも運行されています。島内にはバスやタクシーの路線はないため、訪れる際には徒歩や自転車での移動が主になります。

相島は、自然や歴史を感じながらゆったりとした時間を過ごせる場所です。観光を通じて、島や猫たちへの理解が深まることを願っています。

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