相愛女子短期大学

相愛女子短期大学について

相愛女子短期大学は、大阪府大阪市住之江区に本部を置いていた私立の短期大学です。学校法人相愛学園によって運営され、1950年に設立認可を受け、同年4月に開学しました。国内で最初に設置が認められた短期大学群の一つであり、その歴史は2008年の廃止まで続きました。一般的には「相愛短大」という略称で親しまれていました。

沿革

本学の起源は、1888年に西本願寺によって大阪府東区本町に創立された相愛女学校に遡ります。その後、相愛高等女学校への改組を経て、1928年には財団法人相愛女学園が設立され、相愛女子専門学校が開設されました。専門学校では国文科、家政科、社会事業科が設けられましたが、後に社会事業科が廃止され音楽科が設置されるなど、時代の要請に応じた改編が行われています。1944年にはさらに学科構成が変更され、国語科、保健科、被服科、音楽科が置かれました。

第二次世界大戦後、短期大学制度の創設に伴い、1949年に文部省へ短期大学設置認可申請を行い、翌1950年 3月14日に認可を得て、4月1日に国文科のみを置く単科短期大学として相愛女子短期大学が開学しました。開学後、1953年には国文科に加えて家政科と音楽科が増設され、それぞれに第一部と第二部が設けられるなど、学科体制が拡充されます。キャンパスは当初東区にありましたが、1952年に門真町から東区へ、そして1983年には大阪市住之江区へ移転しました。

学科構成はその後も変化を続け、1965年に家政科の生活専攻が食物専攻に名称変更、1969年には学科名が国文学科、家政学科に変更されました。1974年には国文学科第二部、家政学科第二部、および家政学科の被服専攻・食物専攻が廃止され、第一部のみとなりました。1987年には新たに英米語科が設置され、一時は4学科体制となります。しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、再び学科の再編や名称変更が進み、家政学科が生活学科（衣生活専攻→人間生活専攻、食物専攻→食物栄養専攻）に、国文学科が日本語日本文学科に、英米語科が英語コミュニケーション学科に改称されました。さらに、2000年には人間関係学科が増設されたものの、同時期に入学定員の削減が進みます。最終的に、2003年に日本語日本文学科、2004年に英語コミュニケーション学科が廃止され、2005年度の入学生を最後に学生募集を停止しました。そして、2008年 7月31日をもって正式に廃止されました。

教育および特色

相愛女子短期大学は、浄土真宗の開祖である親鸞聖人の精神を建学の理念としていました。学是「自他共に如来の一子なり、まさに相愛愛すべし」に表されるように、人間が人間らしく生きるための基盤となる宗教的情操教育を重視し、学生一人ひとりの人間性涵養に力を注いでいました。

教育内容においては、学科ごとの専門教育に加え、特色ある科目が設けられていました。例えば、日本語日本文学科には「なにわの文学」という科目があり、近松門左衛門や司馬遼太郎といった大阪にゆかりのある著名な文学者の作品を深く研究することができました。人間関係学科では、人間理解を深めるために宗教、文学、歴史、心理学、社会心理学など多角的な視点から学びを深める科目が設置されていました。また、人間生活学科の食物栄養専攻では、栄養士の養成も行っていました。一般教育科目としては、仏教史学などの宗教関連科目、外国語、保健体育など幅広い分野の科目が提供されていました。

取得可能な資格としては、中学校教諭二種免許状（国語、英語、家庭、保健、社会、音楽）や、かつては高等学校教諭免許状の取得課程も設けられていました。人間生活学科食物栄養専攻からは栄養士資格を取得することが可能でした。

学生生活と施設

相愛女子短期大学では、学生の自主的な活動も活発でした。体育系では硬式テニス、バドミントン、バレーボールなど、文化系では華道、茶道、宗教、演劇、アパレル研究など、多様なクラブやサークル活動が行われていました。学園祭は「ブルーオーシャンフェスティバル」という名称で開催され、学生たちの交流と発表の場となっていました。キャンパスには短期大学独自の校舎が設置されており、また、相愛学園学生寮も利用可能でした。

対外関係と卒業後の進路

学校法人相愛学園のもと、相愛大学や相愛中学校・高等学校といった系列校が存在しました。また、龍谷大学や龍谷大学短期大学部、九州龍谷短期大学といった関係校もありました。卒業生の多くは、短期大学での学びを基盤に四年制大学への編入を選択していました。国文学科、日本語日本文学科、英米語科、英語コミュニケーション学科、生活学科、人間生活学科食物栄養専攻など、各学科から立命館大学、龍谷大学、帝塚山学院大学、徳島文理大学など、多岐にわたる大学への編入実績がありました。また、資格を活かして就職する学生もいました。

相愛女子短期大学は、その約58年間の歴史の中で、浄土真宗の教えに基づく人間教育を柱として、多くの卒業生を社会に送り出しました。時代と共に変化する社会のニーズに応じた学科再編を行いながらも、建学の精神を大切にした学びの場であり続けました。

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