相撲節会

相撲節会（すまひのせちえ）

相撲節会は、奈良時代から平安時代にかけて宮中で行われた重要な年中行事のひとつです。この行事では、相撲が神事として執り行われ、時には天皇による観覧も行われました。相撲節会は、射礼や騎射と共に「三度節」と呼ばれる行事のひとつとして位置づけられ、古代の日本における文化と信仰の交差点であったと言えます。

起源と歴史的背景

相撲節会の起源は古く、垂仁天皇の時代にまで遡ります。垂仁天皇7年（紀元前23年）7月、怪力無双と称される野見宿禰と当麻蹶速が宮中で相撲をとった記録が残されています。その結果、野見宿禰が当麻蹶速を敗北させ、所領を下賜されることになりました。このように、相撲が宮中で行われること自体は古代から存在していたようですが、相撲節会という形式での実施の詳細は明確には記されていません。

相撲節会が具体的な形で残されている資料によると、718年には相撲司が設置され、宮中での相撲が頻繁に行われていたことが伺えます。また、聖武天皇の時代である天平6年（734年）には、相撲節会が開催されたことが記録されています。当初は7月7日に行われ、七夕の行事と一体で実施されていましたが、時代とともに相撲自体の重要性が増し、結果的には七夕行事から独立した形で行われるようになりました。

延暦11年（792年）には、桓武天皇が徴兵制の改正を行い、健児の制が導入されました。この中で相撲は兵士の強化に役立てられ、相撲技の訓練が重視されるようになります。そのため、相撲節会は単なる娯楽に留まらず、実際的な武力の訓練として重要な目的を持つものとなりました。

節会の手続きと勝負判定

相撲節会には、典型的に40名の相撲人が参加し、取組が行われました。取組を行う前に、左右近衛府から各地の選抜メンバーが召集され、順番や世話が行われました。節会では、文武官が見守る中、相撲人たちが立ったままで姿勢をとり、配合した声で取組が開始されるという独特のスタイルが取られていました。

勝負が決する際は勝者が声を挙げ、「立会舞」を披露します。しかし、勝負が不明確な場合や負方が異議を申し立てた際には、審判役の官人による協議が行われ、最終的には天皇の裁定が下されることもありました。また、取組の際に障りが生じた場合、相撲人は申告して休憩を求めることもできましたが、これが度々あったため、実際には多くの申告が受け入れられず、取組が続行されることが常でした。

行事の進化と衰退

相撲節会には、御前の内取や還宴、抜出、追相撲など、多くの関連する行事が存在しました。このような行事は、宮中のエンターテインメントとして機能していただけでなく、相撲そのものの文化的価値も高める要因となりました。特に、引き続き行われた内取では、宮中での相撲が天皇の前で披露されることで、権威の象徴ともなりました。

しかし、時代が下るにつれて相撲節会は次第に衰退し、11世紀半ばの火災や政治的混乱によって中断されることが多くなりました。最終的には、後[[白河天皇]]の時代に一度復興されましたが、それも長くは続かず、相撲節会の名残は他の形態へと受け継がれてゆくこととなります。

相撲節会は、単なるスポーツの枠を越えて、古代日本の社会の一部として重要な役割を果たしていました。その後の日本文化における相撲の発展に影響を与えたこの行事の歴史は、現代の相撲文化を考える上でも欠かせない要素となっています。

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