相柳

相柳（そうりゅう）

相柳は、古代中国神話に登場する恐ろしい怪物で、その姿は九つの人間の頭を持つ大蛇とされています。彼は非常に不気味で、伝説においては彼が通った後の土地の様相が大きく変わると言われています。相柳は主に山のものを食べつくし、その行動は周囲の大地に悪影響を及ぼしました。

特徴と影響

相柳はその九つの頭で、九つの山を象徴する貴重な資源を貪り食う存在です。彼が通り過ぎた後、谷や沢の地形が変わり、その地域は荒廃してしまったとされます。それだけでなく、相柳は共工に仕えているとされ、彼の身体から出る毒水は周囲の環境を汚染し、王朝を悩ませる要因となりました。このため、相柳はただの怪物ではなく、実際に人々の生活まで脅かす存在であったと理解できます。

相柳の血液はその腐敗臭がひどく、古代の英雄・禹によって退治された際には、大量の血液が地面を汚染し、農業を困難にさせてしまったといいます。『山海経』の「海外北経」には、相柳が禹によって退治された場所として柔利国が記されており、彼の存在が人々の記憶にどれほど強く残っているかを示しています。

日本における誤読

日本において、江戸時代に描かれた絵巻物『怪奇鳥獣図巻』では、相柳のことを「そうよく」と呼ぶ解説が付されていました。この呼称は「柳」という漢字を「抑」と誤読した結果であり、その文化的な影響は他の書籍にも見られます。同様の誤読は、1802年に出版された『唐土訓蒙図彙』にも確認できるため、相柳の名に関する混乱が長い間続いていたことが伺えます。

また、相柳の名称の誤読は中国から輸入された異なる書体に見られ、この誤認が日本での名称形成に影響を与えたと考えられています。こうした文化的な背景は、人々が怪物に対する理解や語り伝えてきた物語の一部を形作る重要な要素です。

参考文献

1. 袁珂 著、鈴木博 訳『中国の神話伝説』上、青土社、1993年　161-162頁
2. 『山海経 中国古代の神話世界』高馬三良 訳 平凡社ライブラリー ISBN 4582760341　1994年　126頁

関連項目

その存在は様々な文化に影響を与えており、小惑星(225088) 2007 OR10は共工と名付けられ、その衛星には相柳の名がつけられました。また、漫画『ハイガクラ』や映画『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密|ナイト ミュージアム_エジプト王の秘密』にも相柳が登場しています。ただし、映画では頭が蛇形に描かれており、ヒュドラに似た外見となっています。

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