相良知安

相良知安について

相良知安（さがら ちあん、天保7年2月16日 - 明治39年）は、佐賀藩出身の著名な蘭方医です。彼は明治初期における日本の医学界において重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

相良は1836年に佐賀城下八戸町に生まれ、早いうちから医学に興味を持ちました。嘉永4年、藩校の弘道館に入学し、さらには安政元年に蘭学寮へと進学しました。ここでの学びを通じて、佐倉順天堂の佐藤泰然や長崎精得館でオランダ医学を指導していたボードインから医学を受け継ぎました。

医学への貢献

明治政府において、相良はオランダ医学ではなくドイツ医学を推奨しました。彼の主張は受け入れられ、政府の医学政策に大きな影響を与えました。その後、彼は文部省医務局長としても活躍し、医療行政に関わる多くの役職を歴任しました。しかし、彼の強引な進言は、特に薩摩藩や土佐藩の有力者たちに恨みを買うことになります。

波乱万丈の人生

1870年、相良は部下の不正疑惑に巻き込まれ、捕らえられてしまいます。この時、弾正台長は土佐藩出身の河野敏鎌であり、彼の恨みを買った結果でもありました。その後、石黒忠悳や江藤新平の助けにより出獄し、医療界に戻ることができました。しかし、明治6年には様々な事情から再び官職を罷免され、以後は文部省内の閑職に留まることになります。

年を追うごとに彼のウィットに富んだ性格は次第に頑迷なものへと変わり、世間からは疎外されていきました。最終的には、妻とともに暮らしていた貧しい長屋で愛人と同棲し、生活に困窮するという厳しい状況に陥ります。

晩年と死

相良は64歳で勲五等瑞宝章を授与されるものの、1906年にインフルエンザによって他界しました。相良の死後、明治天皇の勅使が彼のもとに「祭粢料」を持参しましたが、近所の人々は彼がかつての著名な政府官僚であったことに驚きました。相良の墓は佐賀市の城雲院に所在し、戒名は「鉄心院覚道知安居士」です。

記念碑

相良を偲ぶ碑は東京大学の池之端門看護師寮付近にあり、石黒忠悳の題額や入沢達吉の文が刻まれています。これは彼の貢献を称えるために建てられたものであり、東大病院145周年記念事業の一環として新たに配置されました。

相良知安は、近代医学の礎を築いた功績と共に、その生涯での浮き沈みを経験した人物として、今なお多くの人々に記憶されています。

もう一度検索