真夜中のカーボーイ

真夜中のカーボーイ (Midnight Cowboy)

1969年に公開されたアメリカ映画『真夜中のカーボーイ』は、ジョン・シュレシンジャーが監督を務め、アメリカン・ニューシネマの代表作として広く認知されています。この作品は、孤独に流される2人の男性の生き方を描いており、アカデミー賞の作品賞を受賞した唯一の「成人映画」であることでも知られています。また、アメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿にも登録されています。

概要

本作のタイトルは、本来ならば『真夜中のカウボーイ』とされるべきですが、ユナイティッド・アーティスツの日本法人であったユナイト映画の宣伝部長、水野晴郎が「都会的な雰囲気」を強調したいとの理由から「カーボーイ」と命名しました。このため、タイトルと字幕で微妙に表現が異なることが生じました。

映画では、主人公ジョー（ジョン・ヴォイト）がテキサスからニューヨークへ移り住むところから物語が始まります。彼は魅力的なカウボーイとしてのスタイルを持ちながら名声と富を求めますが、逆に娼婦によって金を奪われてしまいます。ジョーはスラムに住むラッツォ（ダスティン・ホフマン）と出会い、彼との奇妙な友情が展開されます。

ストーリー

ジョーは都会での生活に苦しみながらも、自らのジゴロとしての可能性を模索します。しかし、生活は厳しく、ジョーはラッツォとの共同生活を始めます。ラッツォは病を抱えており、冬のニューヨークで貧しい生活を強いられます。それでも彼は、フロリダでの穏やかな生活を夢見て語ります。

ジョーは、ラッツォのサポートを受けながら就業のチャンスを探りますが、ラッツォの病状は悪化の一途を辿ります。ラッツォが病に苦しむ姿は痛々しく、ジョーは彼をフロリダへ連れて行くことを決意しますが、二人の希望は残酷な結末を迎えます。バスの中でラッツォが息絶えるシーンは、彼らの儚い夢を象徴しており、観る者に深い印象を残します。

キャストとスタッフ

主演はジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンが務め、彼らの演技が高く評価されました。特にダスティン・ホフマンはホームレス役を見事に演じ切り、当時の彼の持ち味を生かしています。

監督のシュレシンジャーは、映画の演出やビジョンに深く関与し、強いメッセージ性を持つ作品を創り出しました。この映画の脚本はウォルド・ソルトによって書かれ、多くの批評家からも支持を受けました。

受賞と評価

『真夜中のカーボーイ』は、第42回アカデミー賞において作品賞、監督賞、脚色賞を受賞し、他にも多くのノミネートを受けました。また、英国アカデミー賞でも多くの賞を受賞し、映画史に名を刻む作品として広く知られています。

トリヴィア

本作には多くの興味深いエピソードが存在します。例えば、ジョーがニューヨークに到着するシーンには、当時無名だったアル・パチーノが出演しているものの、上映版ではカットされています。また、ジョーとラッツォが交通事故に遭いそうになる名シーンも、アドリブとして撮影されたものです。さらに、音楽には当初ボブ・ディランに依頼されたものの実現せず、ニルソンの楽曲が使われました。

この映画は、現在でも多くのファンに親しまれており、さまざまなメディアや作品に影響を与え続けています。

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