真木ひでと
真木ひでとは、1950年11月27日生まれ、福岡県田川市出身の日本の歌手です。本名は野内 正行といいます。
プロとしての第一歩は、「木村幸弘とバックボーン」に参加したことから始まりました。木村幸弘氏の指導で、当初はビートルズの「のっぽのサリー」などを歌い始めましたが、次第にローリング・ストーンズの楽曲を歌うようになります。特に、ストーンズのライブパフォーマンスから大きな影響を受け、野口ヒデトとしての激しいステージングが関西で評判を呼びました。
そのパフォーマンスが注目され、ジャズ喫茶でのライブを見たグループ・サウンズ（GS）バンド「オックス」のリーダー、福井利男氏からスカウトを受け、1968年1月にオックスに加入。同年5月、「野口ヒデト」という芸名でオックスのボーカリストとしてメジャーデビューを果たしました。この芸名は、細菌学者の野口英世にちなんで名付けられたといいます。
オックスは次々とヒット曲を生み出し、人気グループとなりました。「ガール・フレンド」「ダンシングセブンティーン」「スワンの涙」「僕は燃えてる」といった楽曲がオリコンチャートのトップ10やトップ20にランクインし、「ガールフレンド」「スワンの涙」を含む数曲は筒美京平氏が作曲を手がけました。デビュー当初は他のメンバーに人気が集まることもありましたが、2枚目のシングル発売頃には野口ヒデトが圧倒的な人気を獲得しました。
GSブームが巻き起こる中、オックスはザ・タイガース、ザ・テンプターズと並び「GS御三家」と称されるようになります。野口ヒデトは、同時期の人気ボーカリストである沢田研二さん、萩原健一さんとともに若い女性ファンの熱狂的な支持を得ました。彼ら3人の対談が雑誌に数多く掲載されるなど、ブームの中心的存在となりました。
特に、1968年9月からの全国ツアーでは、初日の日比谷公会堂をはじめ、各地のステージで観客が失神する騒ぎが起こり、マスコミからは「失神バンド」というセンセーショナルな見出しで報じられました。
オックスは1971年5月31日に解散。野口ヒデトは同年、「仮面」でソロデビューします。その後も「他に何がある」「夜空の笛」などのシングルや、自作曲を含むアルバム「ひでとからあなたに」を発表し、ソロアーティストとして活動を続けました。
1975年、歌手活動からの引退も視野に入れながら、本名の野内正行として読売テレビのオーディション番組「全日本歌謡選手権」に挑戦。見事10週勝ち抜きを果たしました。この成功を機に、番組の審査員でもあった作詞家・山口洋子氏の命名により、「真木ひでと」と改名し、演歌歌手として再スタートを切ります。
再デビュー曲「夢よもういちど」は、ソロ歌手として自身初となる大ヒットを記録。オリコン全国チャートで9位にランクインし、各種新人賞を受賞するなど、大きな注目を浴びました。この頃のファン層はGS時代を知らない若い世代が中心でしたが、真木自身はこれが一時的なブームではないかと懸念していたといいます。
その後も、「恋におぼれて」（東京新聞最優秀ヒット賞受賞）、「東京のどこかに」（飯塚音楽祭大衆賞・銀賞受賞）といったヒットを放ち、演歌歌手としての地位を確立していきます。特に、1980年にリリースされた「雨の東京」はロングセラーとなり、有線放送などで長く愛されました。第13回全日本有線放送大賞特別賞を受賞するなど、真木ひでとの代表曲の一つとなりました。
「雨の東京」の大ヒットにより、NHK紅白歌合戦への出場も確実視されていましたが、当時の関係者の手違いにより出場を逃したというエピソードも残されています。
演歌歌手として活動する中で、ジャズピアニストの世良譲氏からジャズシンガーへの転向を勧められたり、戦前から活躍する作詞家の藤田まさと氏から股旅演歌の楽曲提供を約束されるなど、様々なジャンルの音楽家との交流がありました（いずれも両氏の死去により実現には至らず）。特に藤田氏とは、オックス時代から交流があり、親代わりのように見守ってくれた存在でした。
1978年には、ロックバンドである柳ジョージ&レイニーウッドとの共演で、ロック調のシングル「カモン」をリリースするという意欲的な試みも行われました。また、内田裕也氏のプロデュースする「ニューイヤー・ロック・フェス」に演歌歌手として唯一出演するなど、ジャンルに囚われない活動を展開しました。
1988年には、元ザ・タイガースの森本太郎氏に誘われ、タイガース・メモリアル・クラブバンドに参加。ソロ活動と並行して、再びGSのステージにも立つようになります。
平成に入ってからの楽曲「元気の星」は、「子供の頃からエースで4番」という歌詞で知られ、読売ジャイアンツの2軍公式戦で演奏されるなど、現在も親しまれています。
2010年にはクニ河内プロジェクトのアルバムにオリジナル曲「愛をありがとう」で参加。2012年には歌手デビュー45周年を記念したアルバムが発売されました。
2015年には、真木ひでと改名40周年を迎え、出身地である大阪で、キャリアの原点となった「木村幸弘とバックボーン」とのライブが約50年ぶりに開催されました。
2017年にプロ歌手生活50年、2018年にはオックスでのデビューから50周年を迎えました。節目となる年には記念ライブなども開催され、多くのファンが駆けつけました。
2020年には、古希を記念して約30年ぶりの新曲を含むCD-BOXが発売されるなど、現在も精力的に歌手活動を続けています。テレビ出演は控える傾向にあるものの、ラジオや新聞インタビューなど、様々な形でその存在感を示しています。
キャリアの始まりとGSバンド「オックス」時代
プロとしての第一歩は、「木村幸弘とバックボーン」に参加したことから始まりました。木村幸弘氏の指導で、当初はビートルズの「のっぽのサリー」などを歌い始めましたが、次第にローリング・ストーンズの楽曲を歌うようになります。特に、ストーンズのライブパフォーマンスから大きな影響を受け、野口ヒデトとしての激しいステージングが関西で評判を呼びました。
そのパフォーマンスが注目され、ジャズ喫茶でのライブを見たグループ・サウンズ（GS）バンド「オックス」のリーダー、福井利男氏からスカウトを受け、1968年1月にオックスに加入。同年5月、「野口ヒデト」という芸名でオックスのボーカリストとしてメジャーデビューを果たしました。この芸名は、細菌学者の野口英世にちなんで名付けられたといいます。
オックスは次々とヒット曲を生み出し、人気グループとなりました。「ガール・フレンド」「ダンシングセブンティーン」「スワンの涙」「僕は燃えてる」といった楽曲がオリコンチャートのトップ10やトップ20にランクインし、「ガールフレンド」「スワンの涙」を含む数曲は筒美京平氏が作曲を手がけました。デビュー当初は他のメンバーに人気が集まることもありましたが、2枚目のシングル発売頃には野口ヒデトが圧倒的な人気を獲得しました。
GSブームが巻き起こる中、オックスはザ・タイガース、ザ・テンプターズと並び「GS御三家」と称されるようになります。野口ヒデトは、同時期の人気ボーカリストである沢田研二さん、萩原健一さんとともに若い女性ファンの熱狂的な支持を得ました。彼ら3人の対談が雑誌に数多く掲載されるなど、ブームの中心的存在となりました。
特に、1968年9月からの全国ツアーでは、初日の日比谷公会堂をはじめ、各地のステージで観客が失神する騒ぎが起こり、マスコミからは「失神バンド」というセンセーショナルな見出しで報じられました。
ソロ活動、そして演歌歌手「真木ひでと」へ
オックスは1971年5月31日に解散。野口ヒデトは同年、「仮面」でソロデビューします。その後も「他に何がある」「夜空の笛」などのシングルや、自作曲を含むアルバム「ひでとからあなたに」を発表し、ソロアーティストとして活動を続けました。
1975年、歌手活動からの引退も視野に入れながら、本名の野内正行として読売テレビのオーディション番組「全日本歌謡選手権」に挑戦。見事10週勝ち抜きを果たしました。この成功を機に、番組の審査員でもあった作詞家・山口洋子氏の命名により、「真木ひでと」と改名し、演歌歌手として再スタートを切ります。
再デビュー曲「夢よもういちど」は、ソロ歌手として自身初となる大ヒットを記録。オリコン全国チャートで9位にランクインし、各種新人賞を受賞するなど、大きな注目を浴びました。この頃のファン層はGS時代を知らない若い世代が中心でしたが、真木自身はこれが一時的なブームではないかと懸念していたといいます。
その後も、「恋におぼれて」（東京新聞最優秀ヒット賞受賞）、「東京のどこかに」（飯塚音楽祭大衆賞・銀賞受賞）といったヒットを放ち、演歌歌手としての地位を確立していきます。特に、1980年にリリースされた「雨の東京」はロングセラーとなり、有線放送などで長く愛されました。第13回全日本有線放送大賞特別賞を受賞するなど、真木ひでとの代表曲の一つとなりました。
「雨の東京」の大ヒットにより、NHK紅白歌合戦への出場も確実視されていましたが、当時の関係者の手違いにより出場を逃したというエピソードも残されています。
ジャンルを超えた交流と多様な活動
演歌歌手として活動する中で、ジャズピアニストの世良譲氏からジャズシンガーへの転向を勧められたり、戦前から活躍する作詞家の藤田まさと氏から股旅演歌の楽曲提供を約束されるなど、様々なジャンルの音楽家との交流がありました（いずれも両氏の死去により実現には至らず）。特に藤田氏とは、オックス時代から交流があり、親代わりのように見守ってくれた存在でした。
1978年には、ロックバンドである柳ジョージ&レイニーウッドとの共演で、ロック調のシングル「カモン」をリリースするという意欲的な試みも行われました。また、内田裕也氏のプロデュースする「ニューイヤー・ロック・フェス」に演歌歌手として唯一出演するなど、ジャンルに囚われない活動を展開しました。
1988年には、元ザ・タイガースの森本太郎氏に誘われ、タイガース・メモリアル・クラブバンドに参加。ソロ活動と並行して、再びGSのステージにも立つようになります。
平成に入ってからの楽曲「元気の星」は、「子供の頃からエースで4番」という歌詞で知られ、読売ジャイアンツの2軍公式戦で演奏されるなど、現在も親しまれています。
現在の活動
2010年にはクニ河内プロジェクトのアルバムにオリジナル曲「愛をありがとう」で参加。2012年には歌手デビュー45周年を記念したアルバムが発売されました。
2015年には、真木ひでと改名40周年を迎え、出身地である大阪で、キャリアの原点となった「木村幸弘とバックボーン」とのライブが約50年ぶりに開催されました。
2017年にプロ歌手生活50年、2018年にはオックスでのデビューから50周年を迎えました。節目となる年には記念ライブなども開催され、多くのファンが駆けつけました。
2020年には、古希を記念して約30年ぶりの新曲を含むCD-BOXが発売されるなど、現在も精力的に歌手活動を続けています。テレビ出演は控える傾向にあるものの、ラジオや新聞インタビューなど、様々な形でその存在感を示しています。
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