真木栗ノ穴

真木栗ノ穴（まきぐりのあな）

2007年に製作され、翌2008年10月18日に劇場公開された日本の映画作品。東京国際映画祭の「ある視点」部門に出品されたことでも知られる。

本作は、山本亜紀子による同名のホラー小説『穴』（角川ホラー文庫）を原作としている。監督・脚本は深川栄洋が務め、脚本には小沼雄一も名を連ねている。

物語は、築40年を経た古いアパートに暮らす一人の作家、真木栗勉を中心に展開する。彼は現在、官能小説の執筆を依頼されているものの、全くと言っていいほど筆が進まず、アイデア枯渇に悩んでいた。

そんなある日、真木栗は自身の部屋から隣の空き部屋を覗き見できる小さな穴を偶然発見する。この穴を通して、彼は隣室に若い女性が引っ越してくる様子を鮮明に妄想し始める。現実にはまだ誰もいないその部屋に、架空の女性が現れ、生活を送る姿を想像することで、真木栗は次第に創作意欲を掻き立てられ、その妄想を基にした小説を書き進めていく。

しかし、時を同じくして、隣室に現実の女性、水野佐緒里が本当に引っ越してくる。真木栗は、穴からのぞき見る彼女の日常に次第に魅了され、その存在に強く囚われていく。物語の中で膨らませた妄想上の女性像と、現実の佐緒里の姿が彼の中で混濁し始め、小説の世界と自身の現実、そして精神世界の境界が曖昧になっていく過程が描かれる。

覗き見という行為が作家の創造の源泉となる一方、それが引き起こす倫理的な問題や、現実と妄想の狭間で揺れ動く主人公の心理が、作品の核心をなしている。

キャスト

真木栗勉: 西島秀俊
水野佐緒里: 粟田麗
浅香成美: 木下あゆ美
佐々木譲二: 北村有起哉
沖本シズエ: キムラ緑子
水野貞男: 田中哲司
赤坂栗生: 小林且弥
細見貢: 尾上寛之
秋田健: 大橋てつじ
森本飽夫: 利重剛
佐々木譲二の彼女: 佐久間麻由
杉村一成: 谷津勲
柴田実: 永田耕一
飯田時子: 松金よね子

スタッフ

製作: 江口誠
企画･プロデューサー: 倉谷宣緒
監督・脚本: 深川栄洋
原作: 山本亜紀子 『穴』 （角川ホラー文庫）
脚本: 小沼雄一
プロデューサー: 丸目博則
エグゼクティブプロデューサー: 今村悦朗
キャスティング・プロデューサー: 岩淵規
撮影: 高間賢治
制作プロダクション: べんてんムービー（ベンテンエンタテインメント）
キャスティング: メディアンド

主題歌

椿 「めぐり逢えたのは夢じゃない」

上映時間

* 110分

もう一度検索