真田信安

真田信安：松代藩の改革と田村騒動

真田信安は、江戸時代中期、信濃国松代藩の5代藩主として藩政を担いました。先代藩主・真田信弘の三男として生まれ、兄の早世により藩主の座を継ぐこととなります。

当時の松代藩は、家老や家臣による不正が横行し、財政は極度に悪化していました。寛延3年（1750年）には、家臣によるサボタージュ事件まで発生するほど、藩の状況は危機的でした。

このような状況を打開するため、信安は勝手掛（財政担当官）に田村半右衛門を登用し、藩財政の改革に着手します。田村半右衛門は、播磨赤穂藩浅野家の家老であった大野知房の子、大野群右衛門であったとも言われています。

半右衛門は、まず不正を行っていた家老や役人に対し、不正の代償として御用金を支払わせることにしました。さらに、百姓に対しては、100石ごとに籾15俵を増税として課しました。この増税に対し、百姓たちの不満は高まります。不正を行った家老や家臣たちには御用金のみが課せられ、それ以上の罰は与えられなかった一方で、罪のない百姓にも重い負担が課せられたためです。

この結果、松代藩には4700両の蓄えができました。しかし、百姓たちの怒りは収まらず、宝暦元年（1751年）にはついに百姓一揆が発生します。事態を重く見た信安は、半右衛門を罷免して投獄し、獄死させました。この一連の騒動は「田村騒動」と呼ばれています。

宝暦2年（1752年）、信安は死去し、長男の幸弘が家督を相続しました。

系譜

父：真田信弘
母：藤田氏（側室）
正室：典、匡章院 - 前田利章の娘
側室：慈明院 - 伊東甚五右衛門の娘

子女
真田幸弘（長男）：母は慈明院（側室）
女子：松浦政信正室のち建部政賢正室、母は匡章院（正室）
女子：松平忠恕正室、母は匡章院（正室）

真田信安は、藩財政の再建を目指し改革を行いましたが、その手法は領民の反発を招き、騒動を引き起こす結果となりました。その生涯は、藩主としての苦悩と葛藤に満ちたものであったと言えるでしょう。

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