真福寺 (秩父市)

真福寺（しんぷくじ）

真福寺は埼玉県秩父市にある曹洞宗の寺院で、山号は大棚山です。この寺院は秩父三十四所の中で第二番目の札所として知られ、また秩父市の重要な史跡として指定されています。かつては大規模な伽藍を有していましたが、1860年に発生した火事によって大部分が焼失しました。また、現在は無住の寺院となっており、高台には観音堂が存在しています。納経や御朱印は、麓にある光明寺で行われています。

本尊とご詠歌

真福寺の本尊である如来に対する真言は「おん あろりきゃ そわか」で、信者からの信仰が厚いことがうかがえます。また、寺院のご詠歌には「廻り来て願いをかけし大棚の 誓いも深き谷川の水」とあり、信者たちの思いが込められています。

歴史

真福寺の歴史は、『観音霊験記』によると、大棚禅師によって建立されたと伝えられています。ある日、一人の老婆が禅師の前にひざまずき、自己の過去の罪を懺悔し、朝夕に香火を供えながら仏道へ帰依する姿が見られました。しかし、老婆は突如として姿を消してしまいました。禅師はこの出来事を哀れに思い、彼女の供養のために堂を建てることにしたのが真福寺の始まりです。

室町時代には水害によって秩父33ヶ所から外されたものの、信者からの復活の要望を受け、再び34ヶ所目の札所として位置づけられるようになりました。この経緯により、西国33ヶ所、坂東33ヶ所と合わせて日本百観音が形成されることとなりました。

現在の場所に観音堂が移されるのは江戸時代初期のことです。しかし、1860年には火災によって伽藍が焼失し、現在見られる観音堂は1908年に再建されたものです。新しい観音堂は入母屋造りの銅葺き屋根を持ち、三間四面の構造となっています。

文化財

真福寺には聖観音立像が存在し、これは当時の本尊であり、一木造りで高さ64cmです。室町時代に作られたもので、1860年の火事においても無事に救出されました。この立像は寺院の貴重な文化財であり、訪れる多くの人々に感動を与えています。

交通アクセス

真福寺へのアクセスは、西武秩父駅または秩父駅から西武観光バスの「定峰・皆野駅ゆき」に乗り、「光明寺入口」で下車してから徒歩約35分です。また、第1番札所である四萬部寺からは徒歩で約45分となります。周囲の自然に囲まれた静かな場所で、訪れる人々は心落ち着くひとときを過ごすことができます。

前後の札所

秩父札所における位置関係は、1番の四萬部寺から2.1km、真福寺から光明寺経由で2.5km、そして次の3番の常泉寺へと続いています。これらの札所を巡ることで、参拝者は秩父の豊かな文化と歴史を深く味わうことができます。

もう一度検索